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BLの終焉

Rあり、男性同士の恋愛小説を載せております。

最近の記事

こんにちは。 

【未成年の方の閲覧不可です】

皆様、こんにちは。
7月21日0時更新予約しております。



※現在連載中の記事がなぜか消えて、いや消してしまいました(涙)
復旧するまで右のカテゴリをご覧下さいませ。


※このブログの歩き方ですが

まずScandal を読まれながら同時に大野敦の憂鬱の3までをお読みになり
他の永田町シリーズと大野敦の憂鬱の4から続きを読んでいいただくと
良いかと思います。

まだ目次の整理が出来なくて、右のカテゴリから入られるのが
お薦めです。
カテゴリは下から古い順です。
ただ永田町シリーズではないのもあります。
それも下のほうにございます。

読みづらく大変申し訳ございません。


※腐っております。R指定もございますので
閲覧にはご注意ください(^_^;)
(18歳未満の方の閲覧はご遠慮ください)


目次です。】←こちらから目次に飛べますが
整理できてません、ごめんなさい(/ω\)


【いただいたコメントについて】
いただいたコメントはいただいた記事にてお返事しております。
鍵コメに関してもイニシャルでお返しさせていただいてます。
鍵拍手コメも同様にイニシャルでコメレス欄にお返しいたします。
拍手コメも記事のコメ欄へレスさせていただきます。

いつもありがとうございますm(__)m


Category: 雑記

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青い淡水魚(いつかこんな晴れた日に。番外編) 

「いつかこんな晴れた日に」の
拓真×晶の7月某日のお話しです。


青い淡水魚

   H0000165165_convert_20120803052645.jpg



「暑い、暑い、暑い!」
そう口に出さないととってもやってられないくらい
暑かったんだ。

デル・マ―レの扉を勢いよくバン!と、押しながら中に入ってきた僕に
晶が呆れた‥という顔を向けた。

「拓真さん、夏ですから」

「まだ7月なのに!?」

「この辺りは湿気がないからいいじゃないですか」

「直射日光が痛い!
出来ることなら日傘でもさしたいよ。
だから‥シャンパンおごって」

「‥‥そのシャツ‥UVカットしてるヤツでしょ」

シャンパンを無視して
僕の長袖のブルーのシャツを指して尋ねてきた。

「‥当たり前だよ。
晶みたいにTシャツ焼けなんてみっともなくて嫌だからね。
こっちは打ち合わせとかで都内にしょっちゅう行ってるんだから。
だから、シャンパン!」

「シャンパン飲んだら尚更暑くないっすか?」

「炭酸な感じがほしいんだよね、今は」

「‥はいはい」

カウンターの奥にあるワインクーラーからボトルを持ってくると
いつもの早技で1滴も溢れさせることなく栓を抜くと
じっとモノほしげに待っていた僕の前にグラスを置いた。

この黄金の輝きがたまらないんだ。

「拓真さんに潰されそうだな、この店」
ポツリとイヤミを言う。

「シャンパン1杯で店は潰れない。
さっきまで満席だったから僕はあきの部屋にいたのに
ひとを待たせといて言うセリフかな」

「お陰さまで誰もいなくなりました、
遠慮なくさせてもらいます」

させてもらう‥?

「‥なにを――」
そう言いかけた唇を塞がれた。
シャンパンで湿った唇が‥チュッ‥と、音を立てて離れた。

「‥‥今のでシャンパン代はチャラだな」

「ああ‥しまった‥」
大袈裟に頭なんか抱えちゃって。

「僕のキスは高いんだぞ、
それにしたって昼間から‥あ‥‥お客様だ。
僕は2階にいるから」

ふたり連れの常連さんが入ってきたから僕は2階に退散だ。

「あれっ?拓真さんきてたでしょ?」

ヤバい‥みつかったか。

「ああ、なんか暑くて頭が痛いって上に‥いらっしゃいませ」

「なんだ、気にすることないのに。
私たちはふたりのこと超応援してるんだから」

「そうそう、湘南のベストカップルなのに~」

「あはははは‥そうですか、ありがとうございます。
奥の席にどうぞ」

Tシャツとジーンズのラフな格好の、近所のカットハウスのお姉さんふたり。
顔見知りだけども好奇の目に晒されるのも‥ちょっと嫌かな。

ロフトのような2階席はあまり客席として使用しない。
でも、照明は暗めで‥席から明るい空を見るのは好きだ。
だいたい取材でバタバタして‥夏休み前のほんの少しの間
暇になる僕はほぼ毎日ここに通っていた。

一緒に住みたいと言う晶の希望は‥叶えてやりたいけど
葉月のこともあるし‥今都内の中高一貫校に転入させるかどうかで
迷ってて‥それが片付けば考えようと思ってた。

それまでは‥通い婚だな。

「拓真さん、降りてきませんか」

階段の中ほどから晶が声をかけてきた。

「‥‥」

「久子さんたちがご尊顔を拝したいそうですよ」

客商売だから仕方ないか‥
「分りました!」
仕方なくグラス片手に下界へ降りて行った(笑)

「拓ちゃん、うちの店も載せてくれてありがとう!
お陰で前月の倍、お客さんが増えたのよ」

カウンターの端で僕はお愛想笑いを浮かべる。
「いいえ、アンティークな家具とかソファとか美容院にしては珍しいって
話題だったんで‥全然‥」

「でも相変わらず色白いのね、私たちなんてまっ黒よ」

「休みがあれば波に乗ってるから」

「僕は明るい太陽とか海が苦手で‥
見てる分はいいんですけど‥」

「そうねえ‥拓ちゃんには似合わないかしら。
どっちかって言うと‥高原かな?
軽井沢って感じがするものね」

「そうですかね」

だから嫌いじゃないんだ。
見てるのは好きなんだけども‥熱い砂の上とか‥
陽射とか‥考えるだけで目眩がする。

「‥拓真さん、良かったですね」

「‥‥なにが?」

「外にわか雨ですよ」

「えっ!?」

「やだっ!」
女子ふたりは困惑顔だ。

「少し涼しくなるかな、これで」

「しかし‥土砂降りですけど‥」

「すぐやむんじゃないかな‥」
そんな話をしていると慌ただしく扉が開く音がした。

客は‥ふたり連れの‥若い可愛い男の子と‥スーツ姿の美形。
なんかスーツは見たことある。

どこで――

‥あ‥‥的場湊!


「まだ大丈夫ですか?」

その彼が晶に声をかけてきた。
カウンターの下からタオルを2枚出すと
「どうぞ」と、一番見晴らしの良い窓際の席に晶が案内する。

「これ、どうぞ。綺麗に洗ってありますから。拭いたほうがいいですよ、
冷房で風邪を引くといけませんからね」

「ありがとうございます。お言葉に甘えて、お借りします」

「なにか、お奨めをお願いします」
タオルで髪を拭きながら晶を見上げた。

「お嫌いな物とか苦手な食材はございますか?」

「いいえ、特には・・・ランチは終わってるのではないですか?
都合の付くもので構いませんから」


終ってるけどね。

終ってても晶はなんでも作ってくれるよ、僕だけじゃなく
みんなに優しいからね。
お客さまであれば尚更だ。

「トマトとモッツアレラチーズの冷製パスタはいかがですか?」

ソレ僕も欲しい‥

「じゃあ、それを2つ」

「お飲み物は?」

「蒼唯、運転してくれる?」

運転‥えーーっ‥18歳以上‥?
そうなのか‥そうだよな、智紘くんくらいに見えないこともない。

「いいよ!」

「じゃあ、なにかオードブルとワインをグラスで。この子は
ソフトドリンクで」

「かしこまりました」

「ええ~」
可愛い坊やが不満げな顔をして美形の彼に訴えた。
ジュースが嫌なのか?

「なに?」

「ノンアルコールビールくらい・・・」

「やっぱり拙くないか?」

「じゃ、もう少しこう大人な飲み物を・・・」

「じゃあ、アイスピーチティーとか山ぶどうのジュースとか、ありますよ」

「それにします!山ぶどうのジュース!ドルチェとかは?」

山ぶどうのジュースがオトナかどうかは‥分んないけど。

「ははっ」
彼の態度が愛らしいもんだから晶も笑って、
「メニューをどうぞ」と差し出したメニューから
鯛のカルパッチョとドルチェを注文した。



「カップル‥?」

小声で晶に聞くと‥
「多分‥それから、的場湊ですね」
短い答えが返ってきた。

「やっぱりね」

「拓真さん知ってたんだ」

「わかるよ普通」



それから(先生)は何度かワインをおかわりして‥
なかなかやまない雨を恨めしくみつめながらも楽しげに話をしていた。

やっぱりどう見ても‥カップルだ。

彼は坊やのことをいかにも可愛い‥って感じでみつめるし、
坊やの方も満面の笑顔。
見ていると‥こっちも笑顔になるような、そんなふたりだった。

雨もほぼやんで、会計した先生が
「久しぶりに美味いパスタに巡り合いました。ご馳走様でした」
そんなことを言った。

それはそうだよ、ここのパスタは日本一だと僕は思ってるから。
やっぱり美味い店なんだ。
あんまり嬉しくて‥ヘラヘラ笑っていたかもしれない。

「ありがとうございました。今度は晴れた日にまた、おいで下さい。
窓からのロケーションは最高ですよ」
晶もそう答えると、いつものようにドアを開けて外までふたりを見送った。

「的場湊ったら保守党の顔じゃん。
サインとか写真撮ってもらえば良かった」

「お忍びじゃないんですか?
そっとしてあげないと」

――まあね。


雨は‥時々降ったりやんだり。
終いには狐の嫁入りのような天気になった。

向こうに虹も出ているのにこっちは曇っていたりして。



「海沿いの天気なんてこんなですよね」

久子さんたちも帰って店には僕と晶だけ。
「僕は暑くなきゃそれでいいよ」

「1年中真夏だったら‥拓真さんは死んじゃいますか」

「死ぬ死ぬ、絶対死ぬ。
真夏の海じゃ生きていけない!」

「じゃ、アレだ、淡水魚だ」

「淡水魚‥?」

「海にいるって感じじゃないよ、拓真さんは。
そうだな‥グラスの中で飼えるベタって淡水魚知ってますか?」

「ああ、真っ青なやつ?」

「色々あります、パールホワイトもキレイだし
ターコイズブルーとか‥でも、拓真さんはロイヤルブルーだ。
今日のシャツと同じ色の」

「きみのコップの中で飼われてるの、僕は」

「大事に、大事にしてますよ、
ちゃんと蓋も開けてますしね」

「蓋‥?」

「そう、蓋。
あの魚は補助呼吸器官で必要な酸素の60%を
空気から摂取してて、蓋がしてあると窒息するんですよ」

「口でパクパク呼吸する訳か」

「そうです、
冷たいくらいキレイで‥‥ひとりでは息ができない淡水魚なんですよ、
拓真さんは」

「‥なんだ、ソレ」
ひとをひとりでは生きていけないヤツみたいに。

「さっきのカップルの若い子‥拓真さんに似てた気がする。
暑いのが苦手そうで、色が白くて線が細くて‥キレイだった」

「彼もロイヤルブルーの淡水魚なのか‥
的場湊がいないと息もできないくらいの?」

「そうかもしれませんね」

「勝手にそんなこと‥ひとは見掛けに寄らないぞ」

「そうですね、それはそうだ。
ベタっていう淡水魚だって喧嘩するから1匹で飼わないと
まずいって。
拓真さんだって見掛けは透明感があってキレイでも
ものすごく芯が強くて、怒らせると怖いから
さっきの彼もそうかもしれない」

僕は闘魚じゃないぞ!
でも‥

「‥‥僕が呼吸できるのは‥晶がいるからかもな」

あの代議士も、美しく輝く坊やがいるから‥
息をしているのかも知れない。

「今日‥泊っていってくれますか?」

「‥‥別にいいけど」

「俺ちょっと、部屋片付けて来るんで店番して下さい!」

風のようにすっ飛んで行く晶の後ろ姿を見ながら
あの青い淡水魚を思い浮かべていた。

‥‥僕のえさ代はひとの倍かかるというのを覚悟してるのかな?

キレイなだけの淡水魚だったら僕は彼に愛してもらえただろうか。

きっと僕が僕のままだから
彼の中で泳いでいられるんだと‥そう思った。


雨雲は遙か彼方へと去り、
少しだけ傾いた陽射が海を眩しく照らす午後だった。






           fmrb1-1_convert_20120803051117.jpg

これが拓ちゃんと圭ちゃんの『ベタ』のロイヤルブルーです。
(ヒレを含まず)僅か3,4センチほどのグラスで飼える淡水魚です

この次はもう少し甘いものも書こうかと思います。

本日も沢山の拍手、ご訪問ありがとうございました。

Category: いつかこんな晴れた日に

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いつかこんな晴れた日に 41 最終話 

いつかこんな晴れた日に 41





「ひとの目なんてどうでもいい、一生拓真さんと共に生きて
死ぬ時は看取ってほしいんだ!」

「看取る‥?そんなこと絶対嫌だ!」


そんなやりとりに葉月と智紘は凍りつく。
「あの、喧嘩は‥やめた方が‥ひとも来たし」

「喧嘩なんてしてない。
僕は分らず屋の晶に言い聞かせているだけだ」

「分らず屋ってなんすか!
俺は一緒に住みたい、同性だって結婚て言葉使ったっていいじゃないかと
言ってるだけだ!
結婚て言葉を使っちゃいけないって法でもあるんですかっ」

「法で禁止されてる国なんていくつもある。
死刑が適応される国だってあるんだぞ!
好きなら好きで‥それだけでいいじゃないか!
紙切れにサインをする訳でもない口約束だけの‥
それにイエスと言ったところでどうなる?
下らない、みっともない、バカバカしい!」

「言いたいことはそれだけですか」

「‥‥きみにつける薬はない」


「それくらい突き抜けてる方が逆に良いでしょうよ、
俺は普通に生きてきてませんから。
だけど心に決めていたことはある」

「どうせつまんないことだろ」

「もう学生の時から拓真さんの傍から離れない、
そう決めてました。
拓真さんは俺が傍にいて守ってないとダメだって
分ってたんで」

「そんなことない、いつだってひとりでやってきたんだ!
拓海の葬儀もひとりでやったし、葉月もひとりで育ててきた。
そりゃ‥保育園に入れたけども‥人並みに面倒は見てきたんだ」

「そうだっけ‥俺、しょっちゅう保育園にお迎えに行ってた気がするけど‥
葉月ちゃん、俺の勘違い?」

「ううん、僕ほぼ毎日晶さんと帰ってたけど」

「‥‥そんな昔のこと覚えてるわけないだろ、勘違いだ」

「僕と晶さんが帰ってくると拓ちゃんが御褒美って晶さんにキスしてた」

「‥そんな‥そんなヒモみたいなことする訳ないだろっ!」

「俺もその御褒美がほしくて‥進んでお迎えに行ってたなぁ」

「晶っ!やかましい!
余計なこと言うな!」

「拓真さん‥気になるの?周りが?」
黙ってコーラを飲んでいた智紘が不思議そうな顔をする。

「ひとの中で暮らしているんだ。
ひとの目も気にするだろ、普通」

「悪いことをしてるって意識‥あるの?」

「僕はない。
僕はないけど‥晶を巻き込むのは違う」

「俺は俺の考えで好きなようにするって言ったじゃないですか!
俺だって周りは気にしてないです。
俺と拓真さんのこれからのことだけ考えて生きていきたいんだ」

「指輪なんてなくっても一緒暮らせるだろう。
どうして苦しい道ばかりを選ぼうとするんだ」

「拓真さんに言われたくないですよ。
自分だって‥辛い方にばかり傾いて‥ドMですか」

「‥どっちかって言うと‥Sだ」

「‥‥拓ちゃん、Sだったの?へえ‥
僕は紘ちゃんと結婚するよ」

葉月の結婚宣言に強い風も一瞬止んだように見えた。

「‥‥同性では結婚できないの知ってるだろう?」

「拓ちゃんは杓子定規に考えすぎなんだよ。
いいじゃん、誰に迷惑かけてる訳でもないのに。
後悔しないように人生は生きないと。
たった一回きりだよ、例え生まれ変わっても前世の記憶は
ないんだよ?
好きなように‥僕は生きたい」

「葉月‥結婚って‥」
「僕が16になったら‥プロポーズしてね、紘ちゃん」

「あはははははっ!
やられた‥葉月ちゃん、スゴイな。
人生設計ガッツリ組んでんだね」

「紘ちゃんは司法試験受けて弁護士になるって言うから、
僕は即戦力になる学部を受けないと食べさせてあげられないもんね」

「智紘くんを葉月ちゃんが食べさせるの?」

「そう。そういうの憧れる」

「‥‥俺‥葉月のヒモか‥」

「いいんだよ、一人前になったら養ってね」

「‥‥分りました、頑張ります」

「それで‥いつかみんなで一緒に暮らそうね。
僕は僕を育ててくれた拓ちゃんと、晶さん‥それから
好きになってくれた紘ちゃんにお返ししたい。
鎌倉で家を建てて‥一緒に住みたいんだ」

「それはまた‥どんな一家なんだか‥」

「既成概念を破らせるんだよ、拓ちゃん」
にっこり笑ってそう言った葉月を振り向く拓真。

「幸せな家族になって‥世間のひとに既成概念を振り払ってもらうんだ」

「葉月は時々難しいことを言うから。
どういう事?」

「学校で金子みすゞさんの詩を読んだんだ。
そしたらそんな詩があったから。
(海とかもめ)って詩‥

海は青いとおもってた、かもめは白いとおもってた。
だのに、今見る、この海も、
かもめの翅も、ねずみ色。
みな知ってるとおもってた。だけどもそれはうそでした。

空は青いと知ってます。雪は白いと知ってます。
みんな見てます、知ってます。
けれどもそれもうそかしら。
‥‥っていうの。

人の差別とか、既成概念を打ち破ろうって意味らしいんだ。
良い詩だなぁって‥。
だからいいじゃん、好きなら。
そんなにひとの目って大事?
好きなひとと一緒にいれることってもっと大事だと僕は思う」

「葉月ちゃん、子供だと思ってたら‥随分大人になったね」

「晶さんは子供っぽいからね」

「あははは‥よく言うよ、まったく」

「この4人で暮らすのか‥花がないな‥目の前が真っ暗になる」

「なに言ってるんですか、俺の花は拓真さんなのに」

「そんなことは誰もいない時に言え、子供の前じゃないか、バカ!」

「葉月ちゃんだって覚悟してるのに‥拓真さんはまだ先のこと‥決められない?」

「‥‥勝手に指輪をはめたくせに‥智紘くん、葉月もちょっと波打ち際に行って
桜貝でもみつけてきて」

「あ‥お邪魔ですね、はいはい」
智紘が立ち上がるとその後ろを葉月がついて行く。



なにやら話しながら歩くふたりをみつめながら
「そんなに結婚したいのか‥」
拓真が呟いた。

「俺は‥悔しいんです。
したくもない結婚なんてさせられて‥だから‥
結婚て、こんなに幸せで楽しいものだと‥教えてやりたい、拓真さんに」

「‥‥指切りたくないから‥してやってもいいぞ」

「‥えっ?」

「この指輪‥指を切らなきゃ取れないんだろ?
だったら仕方ない。
仕方ないから‥結婚してやる」

「マジで!?」
拓真の華奢な肩を掴んで胸の中に抱きしめる晶、
「バカ、離せっ、あいつらが見てるじゃないか!」
力で晶に抗えるわけもなく――



「あ、安住先生のとこ行ったよ。
葉月のこと話してきた」

「怒ってなかった?
‥僕、嘘吐いちゃって」

「いいや、棘はあったけど
綺麗な花だったから虐待って言葉と
最終的に結びつかなかったって」

「拓ちゃんのこと?」

「案外先生の好みだったりして」

「やめてよ、揉めさせるのは」

「はは、冗談だよ」


「‥でも‥こんな日が来るなんて‥思ってもみなかった」
デッキでじゃれ合っているように見える拓真と晶を見ながら葉月が言った。

「うちはいつも暗闇みたいな感じで‥息をするのも‥苦しかった。
こんな日が‥来るなんて‥‥すごく嬉しい」

「葉月‥」


「夢見てたんだ、僕。
‥好きなひとたちと海辺でご飯食べて、散歩して‥」


「葉月の夢‥?」


「‥うん。
‥いつかみんなで海に来れたら幸せだなって‥思ってた。
こんな晴れた日に‥」









こちらもめでたく終了いたしました。
ご訪問下さった方々には心より感謝申し上げます。
ありがとうございました!

Category: いつかこんな晴れた日に

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バラ色の6月 

何もないある6月の夜の大野さんと幹事長の
お話です。
出しそこなって7月になりましたが(@_@;)

「いつかこんな~」は明日更新予定です。



バラ色の6月




それは玄関先でのこと。

「敦くん6月だねえ」

帰って来て僕に鞄を渡した途端、
そう言った。

「‥はい。そうですね」

「今度の休み横浜行こうか」

「何故です?」

「‥何故って‥」

ポカンとしてる悠也さん。

「ええ。ですから横浜に何をしに?」

意地悪の虫が時々出てくるんだ。
どМの悠也さん相手だとどうしたって僕がSになる。

「6月に横浜だよ!?」

「6月に横浜‥ですか」

僕は彼を廊下に置き去りにして
鞄を片付けリビングの雑誌もしまおうと
リビングに行く。
彼は僕の後ろを戸惑いがちについてくる。

「だから、きみのお父さんのお墓参りだって!」

「‥‥いいんです」

「いいって――」

「実はもう行ってきました。
6月に入ってすぐ」

「ひとりで?どうして!」

「スケジュールの問題です。
それにもう亡くなって20年過ぎてますから
僕ひとりでいいんです」

悠也さんはあまり僕に見せない複雑な顔して
ソファに座り込んだ。

「私は決めてるんだ。
毎年6月にきみと横浜に行くって。
だからスケジュールなんて考えなくても――
今言っても仕方ないが」

「あなたの体調の心配して
考えるのは間違いですか?」

つい紋切り口調になってしまった。

「それは分かるけれど
お父さんの墓参りは別だと思っていたんだが」

「いつも業者の方が綺麗にしてくれていますし
心の中で想うだけでも供養になります」

「お父さんのことを毎日想っているんだろうね。
‥きみのことだから」

僕の顔を見ないまま視線は床。

彼にだって感情がある。
でも僕がひとりで父を想うのはそんなに悪いことだろうか。

父への気持ちも共有したいんだろうな、悠也さんのことだから。
‥拒絶するほど嫌じゃないけど彼とは一切関係のない、
会ったこともないひとだ。
どんな気持ちで山手までいつも出掛けてたのかな。

「想うとか想わないとかじゃなく
僕の身体の一部ですから父は」

「‥‥そうだね。
肉親だからそう言える。
ああ、着替えてくるよ」

「‥はい」

いつもは僕が手伝うけれどチラッと僕を見ただけで
リビングを出て行った。

怒っているのかな。

それはそれで興味深い。
今まで僕に見せない顔を知りたいと思った。


そのまま彼はお風呂に入ったらしい。
だから僕は寝室でシャワーした。

引っ越してきて同時にシャワーとお風呂に分かれて
入るのは初めてのことだった。

‥ワクワクするのはなんでだろう。



「敦くん、食事してきたんだって?」

着替えてリビングにいた僕のもとへ
悠也さんも着替えてやってきた。

「はい。
悠也さんは?」

「適当に何か作るよ」

「‥‥‥」

自分の中で消化したのか
さっきの話しを忘れたみたいにキッチンに向かった。

僕も彼を追いかけてダイニングテーブルに着いた。

「どうした?
きみもなんか食う?」

「いいえ、そうじゃなくお手伝いしなくていいんですか?」

「じゃコーヒーでも淹れてもらおうか」

「怒ってないんですか?」

「えっ?
なんで怒るんだ」

冷蔵庫の前にいた彼が振り向いた。

「僕が意地悪だから」

「何言ってんの。
敦くんほど優しい子はこの世にいないよ」

「でもさっき‥父のことで‥」

「怒ってない、全然。
自分が不甲斐ないと思っただけで
きみになぜ怒る?
賢い敦くんは間違ってない」

「‥理不尽なこと言っても?」

「きみの根底には限りない優しさがある。
その上で何を言っても悪意を感じないんだ」

「そんな性格良くないと思いますけど」

悠也さんは僕を甘やかしすぎだし
買いかぶってる。

「自分で自分の性格が良いとか
普通言わないよ。
特に敦くんは」

「‥‥バッグ‥ブランドのメッセンジャーバッグ」

「いいよ買いに行こう」

「あと、新しいスーツ」

「うん。
他には?」

「‥‥車‥とか?」

「いいじゃないか、好きなの買いなさい」

これはダメだ。

「‥悠也さんは僕に甘い!」

「へ‥?」

「僕はあなたの怒った顔が見てみたいんです!」

「‥なんで‥?」

「叱られたり怒られたりしたことがないからです!」

「私が怒る?
そりゃ、永田町では怒る事もあるが
きみをどうして怒るんだ」

「今、我儘を言ったじゃないですか!
バッグだの車だのって。
それにお墓参りもひとりで行ったし」

「いつも我儘言わないきみが言うんだから
なんでも叶えてあげたいよ。
墓参りのことだってきみがひとりが良いって言うなら
構わない。
私はきみの考える通りでいいから」

だから!
「あなただって人間です!
腹が立たないんですか!?」

「可愛い私の敦くんがここにいるんだ。
きみが傍にいるんだ。
なんで腹が立つんだか」

はいはい。降参です!
「もういいです。
食事していただかないともう寝ます!」

「もう寝るの!?
早く食うからベッドで待っててくれる?」

「‥‥早く来てくれないと本当に寝ちゃいますよ」

嘘だけどね。
今夜は話しをする夜なんだ。

二人で決めた週末の、ベッドでのコミュニケーションの日。
ま、ピロートークか。



――ほんの30分で彼はベッドに潜り込んできた。

「敦くん、寝た?」

壁を向いてる僕の身体を捕まえ
否応もなく抱きしめてきた。


「あのさ、6月は記念日だよね」

僕の耳元に囁いてきた。

「指輪をいただきました」

「そう。それと命日。
命日が縁起が悪いとか私は思わなくてね。
私たちの何よりも大事な記念の月にしよう。
確かに2月も大事だけど色々重なっている月だからね」

「記念月って、何かするんですか?」

「いつも私たちは想い合っているけれど
6月の辛い想いも楽しい想いも共有できる
月にしよう。ダメかな」

なんでもいいんだ。
もうこのひとには太刀打ちできない。

怒らせようとしたって、イラつかせようと思っても
僕が相手だとなんていうか――
メロメロな訳で。

「いいですよ。
おばあさまの形見の指輪をいただいたし
父が亡くなった月ですけど父は
僕たちを見守ってくれてます。
いいんじゃないですか」

「うん。そうしよう」

「あーあ、でもあなたに叱られたかったな」

「バカだな。
それは一生かかっても無理だよ。
‥あ、ジューンブライド!
いいよ、6月は最高だ!
バラ色のひと月だね」

バラ色‥悠也さんらしい。

どう抗っても敵わないひとっているものだ。

「敦くん、いい?」

胸元のボタンを外し温かな指が入ってきた。

「お話しするんじゃないですか?
早いです」

「裸でも話せるだろう」

えええ‥‥そんなことあり得ない。

いつだってなし崩しに――

「敦くん、永遠に好きだよ。
世界で一番幸せなカップルだろう、我々は」

「うーん‥そう‥ですね」
否定する理由がない。

‥‥まあ、いいか。

バラ色の6月だから。








久しぶりの二人でした♪ただの戯言ですみません。

本日も沢山の拍手、ご訪問ありがとうございました。

Category: 大野敦の憂鬱(短編)

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2017-07