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BLの終焉

Rあり、男性同士の恋愛小説を載せております。

Shangri‐La 14 

Shangri‐La 14





「本当にできることはありませんか」

彼のネクタイを結びつつそう尋ねた。

「…事務所の仕事だけでいっぱいいっぱいだろ、
気にすることはないよ」

「ロビー活動は必要ないですか?」

まだそれほど人数は集まって無い筈だ。
法案を通すには保守党の大多数の賛成票が必要だ。
そして自由党の票も。

だからあの場に自由党の長野幹事長がいたんだ。


「必要ないとは言えないが…」

やはり僕らが関わって何かあっては…と
躊躇っているのだろう。

「ま、いい。
朝食にしよう」

部屋には和朝食が用意されていた。
どうしても一緒に食事したいと言う悠也さんのリクエスト。


「…一緒に朝食摂るの久しぶりだね」

朝はとにかく忙しくてここのとこ別々だ。

「朝食は大事ですか?」

「朝一番に車の中や会議室でオッサン見ながら
食いたくはないよ。
やっぱり敦くんの綺麗な顔見ながら食べれば
何でも美味い」

そんなものだろうか。
食にあまり興味の無い僕には分からないけど。

「我々は伴侶だよ?
食事も一緒、ベッドも一緒が普通だ」

「普通って…あなたはベッドでは普通じゃないです。
3回も4回もー」

「嫌な素振りを見せないきみが悪い」

「…別に…嫌だとは…」

「嫌じゃないんならきみが壊れない程度に
セックスしたいよ、私は」

「もう慣れましたけど何でもソコソコがいいんです」

「熱烈に恋してる証拠じゃないか」

恋は続いてると言うのが彼の持論。
「僕も同じですけど……」

「私の方が100倍は恋しいと思うな」

「…はいはい」

「まさか…敦くんの恋は冷めてしまった?」

「……冷めてたら全部知りたいとか思いません」

「あはは、敦くんは本当に可愛いね。
本当は素直で正直な子なのに
私にはきつく当たるところとか最高だよ」

「…悪趣味なんだから」

「悪趣味じゃない。
きみの言うところのどMだ」

「戯れはそれくらいにして
食事なさらないとお味噌汁が冷めますよ」

「あっ、やばい」

こんな姿を見ていると永田町の影の総理なんて
決して思えないんだけど。
でもそれが政治家なのかな。




「大野さんはダメですよ」

幹事長室横の控え室で今井さんが笑いながら言った。

「…どうしてですか?」

「基本、幹事長に甘いんですよ。
恋人だから仕方ありませんが」

「甘いように見えますか!?」

今井さんの前でもなるべく節度を持って接していたつもりだったのに。

「大野さんは優しい。
それは幹事長に限りませんが」

「仕事上それではまずいですよね」

「それがあなたの武器ですから。
いつもはクールで仕事は完璧なあなたが
笑顔を見せればほとんどのおじさま方は
溶け落ちますよ」

「…それが役に立ちますか?」

「我々はロビイストに徹しましょう。
私は女性議員を担当しますから
大野さんはおじさまをお願いします」

「洗脳と言うか幹事長の味方についていただければ
良いと言う事ですね」

「議員先生方の受けが良い鈴木さんにも
協力してもらいます?」

「得意ですからね熟年転がしが」



僕たちの長い冬が始まった。

春は来るんだろうか…?

(冬来たりなば春遠からじ)

その諺を信じよう。



続く



本日も沢山の拍手、ご訪問ありがとうございました。

Category: 大野敦の憂鬱 21

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