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BLの終焉

Rあり、男性同士の恋愛小説を載せております。

Shangri‐La 16 

Shangri‐La 16





午後8時、料亭ではなくホテルのイタリアンレストランで待ち合わせ。

ほぼ約束の時間に秘書も連れず小松川先生はやって来た。

鈴木さんを見つけると満面の笑みで奥のテーブルの、
立ち上がった鈴木さんのところへ。

…本当に可愛くて仕方がないのだろう。


「…大野さん、そっち聴こえますか?」

彼らに背を向けてる僕らにとってピンマイクから聴こえる声だけが頼りだ。

「ええ、なんとか」

僕らと彼らの席は離れているし間には観葉植物が
生い茂ってるからその隙間からしか見えないんだ。
照明は薄暗いし。


「…セクハラされても見えないのが辛いとこですね」

「鈴木さんのことですから上手く逃げるでしょう」

「ならいいんですけど…」

事務所の長男は心配顔。

「…今、メニュー選んでいますね」

「どうせコースでしょう」

「鈴木さんはグルメだからここを選んだんですね」

「大野さんもここが有名なの知ってたんですか!?」

そんな露骨に驚かなくてもー

「1度食事したことありますから」

「…へえ…大野さんがねえ…」

何にも興味がないと思ってるのかな。

「食事に興味は無いんですけどお付き合いで」

「幹事長ですか?」

「ええ、まあ。
ところで小池先生とはいかがです?」

「いっ、いかがって…どう…どういう意味のっ」

小池先生とのことを聞くとしどろもどろになるのが
宮田さんの面白いところだ。

真っ赤になって汗を浮かべて。

「彩ちゃんと仲良くしてるんならいいんです」

「…それなら私より仲良くしてますかね?」

「それはないでしょう。
熱烈な相思相愛で結ばれたんですから」

「ははは……相思相愛…ですか…」

高校生のように可愛らしいな。

背の高い宮田さんと小柄な小池先生は
似合いのカップルだ。

オトコが切れたことのない鈴木さんも
修羅場のあと小峰先生と上手くいってるらしいし
リア充この上ない。

と、
(本当に小さくて可愛い手だね)
なんて声が耳に届いた。

「…大野さん、イヤホン聞こえました?」

「どうやら手を触られてるようです」

(そうですか?お茶汲みで手が荒れてますけど)

(政策秘書にお茶汲みさせるなんて的場先生は
どうかしてるね。大野くんにも似合わないし…
そうだ、宮田くんにさせればいいじゃないか)

きらびやかなカクテルライトの下、
コーヒーでむせてる宮田さんが気の毒だ。

(宮田さんは公設第一秘書ですから)

(しかしね可愛いりかちゃんにお茶汲みはさせたくないよ)

確かに可愛いし可憐だし華奢だけど
転んでもタダでは起きない性格の強さを持ってる。
そこも魅力でもあるんだけど。

(うちの先生のこと嫌いですか?)

鈴木さんが核心に触れてる。
今夜は食事だけだと言っていたのに。

(的場先生は官房長官まで登り詰めた幹事長のお気に入りだ。嫌うとまずいだろう?りかちゃんの雇い主だし)

(幹事長のお気に入りとはちょっと違うと思いますけど)

(女神様がいるから気にかけているんだろう?
タラシの的場に手を出されちゃ敵わないからね)

(タラシって、うちの先生がですか?)

(有名だよ。それにバツイチだろ?)

(案外真面目なんですから。
お相手も今はいるし…よく誤解はされますけど)

(そうなの?りかちゃんは手を出されてない?)

(小松川先生が僕に手を出してるじゃないですか)


「大丈夫ですかね…」

宮田さんが心配そうに振り返った。

「宮田さん、見ちゃダメですよ。
バレてしまいます」

「ーしかし」

(そうだ、部屋で話さないか?)

まずい。
本当に口説かれてる。

(今夜はお食事だけって言いました。
だからお誘いを受けたんですから)

(落ち着かなくない?)

(先生はイケメンだから僕なんか相手にしなくても
モテる筈です)

(僕はりかちゃんがいいんだ。
りかちゃん、うちの事務所に来ないか?)

あららら。

「…そう来ましたか。
政策秘書は貴重ですからね」

「宮田さん、それは口実です。
小松川先生は鈴木さん自身が欲しいんです。
やはり」

(部屋はスイートだから広いしのびのびできる)


「大野さん、これは出て行かないとヤバいんじゃ…」

「…もう少し様子をみましょう」

(先生、部屋はダメ。
ホテルの部屋に先生と入って僕、無事で帰れるか分かんないですから。それとも絶対に何もしないって誓えますか?)

妙に誤魔化すよりハッキリ言った方が怒らせないのかも知れない。

(うーん…可愛いきみを前にしてキスくらいはしたいな)

(ほら、ダメじゃないですか)

(ははっ!そうだね)

鈴木さんは変なオトコにばかり引っ掛かってきたけど
本気で好きじゃないと付き合ったりしない。

それに優しい小峰先生を裏切れない。

(ほんま、大野さんはひとが悪い)
僕がそう小峰先生に責められても困るし。

ここは逃げ切ってもらわないと。




続く




本日も沢山の拍手、ご訪問ありがとうございました。

Category: 大野敦の憂鬱 21

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