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BLの終焉

Rあり、男性同士の恋愛小説を載せております。

Shangri‐La 33 

Shangri‐La 33





「はははっ
やっぱり誰もいないね」

ひともまばらな境内を見回し悠也さんが言った。

彼はロングのダウンコート、
僕はこの間彼に買ってもらったカシミヤのグレーの
チェスターコート。


「この辺りの方々は明治神宮に行かれるんじゃないですか?僕はあんな混み合う所は御免ですけど」

「…行っちゃダメだと言われてるしね」

「そうですよ。
あなたが行ったら大変です」

「これも初詣だからいいんだ」

「僕は毎年父と近所の小さなお稲荷さんに
出掛けてました。
お賽銭は…少なかったけど」

「そんなものは気持ちだろ。
賽銭が少ないから願いは聞かないって言うなら
金持ちだけが得する世の中になるじゃないか」

「…そうですね」

父はどん底のうちに亡くなった。

この世に神様なんていない。
貧しいひとは死ぬまで貧しいままなんだと
思っていた。

「…やっぱりグレーじゃなくて白が良かったな、
敦くんは白が似合う」

「グレーでいいんです。
汚れが目立たないじゃないですか」

「…そんなもんかねえ」

「貧乏性なんです。
でも今日はキリ良く1000円差し上げます」

悠也さんはいつも10000円くらい入れたりするから
ビックリする。

「すごいな敦くんが、敦くんが1000円。
じゃ私も1000円だ」

「ドケチみたいなこと言わないで下さい!」

「ごめん、ごめん」

……全くもう!


なんかかんか言いながらも
二人ならんでお賽銭入れて黙って拝む。

悠也さんが健康で政治家として躍進できますように。
僕がお願いするのはそれだけ。



手を繋いで境内を歩きながら悠也さんが僕に聞いてきた。

「なにお願いしたの?」

「毎年同じです」

「私もだよ。
敦くんの健康で幸せでいることが
私の願いだ」

そう。いつもお互いのことを祈り、願ってー

「あれ、また降ってきたな」

見上げると粉雪。

「……不思議と寒くありませんね」

「そりゃ……きみと私がラブラブだからだよ」

と、僕の肩を抱き寄せる。
外でも慣れてるから僕は抗わないんだけどね。
抗う理由も…ないから。

「ふふっ、なるほど。
ラブラブオーラが寒さを寄せ付けないんですね」

「敦くん、ヤバいよ」

「…何がです?」

「抱きしめたくなるだろう?」

「いつだってところかまわず何でもしてくるくせに」

「だって新年だし…楽しい事は家でしないと」

楽しい事は…?

なんか分かる気がする、何をしたいのか。



夜中の住宅街を抜けて大きな桜の樹が見えると
ホッとする。

僕たちの家だ。
一生を過ごす大事な住処。


「…もう1時過ぎたか」

パジャマに着替えながら悠也さんが着替え終わった僕を見た。

「敦くん、寝ようか」

そりゃ寝ますけど。

「今日は何回するか分からないから用意しないと」

ベッドサイドのチェストの引き出しをゴソゴソ。

「悠也さん、元旦ですよ!?」

コンドームをチェストの上に列べた。
いち、に、さん、よん、ご……!?

「あなたは常軌を逸してます!」

「そんなことないよ。
ほら、姫始めってことだよ」

……なんてこと言うんだか!

「そんなことばかり考えているんですかっ」

僕をドサッとベッドに押し倒し彼は言った。

「そんなことばかり…考えてるに決まってる」


…うう、愚問だった。




続く




本日も沢山の拍手、ご訪問ありがとうございました。

Category: 大野敦の憂鬱 21

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2018-06