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BLの終焉

Rあり、男性同士の恋愛小説を載せております。

水星の欠片 3 

水星の欠片 3





二〇一八年と呟いて座り込んだ彼。

何かあるんだろうかと傍に行ってしゃがんだ。

「記憶がないの?事故った?」

「……記憶はあるんだけどものすごく
変なんだ」

「どこまで記憶があるの?」

「…逃げたところまで」

「どこから逃げた?」

「あの家から逃げて…同潤会アパートまで行こうと思って…でも灯籠の手前の銀行の隙間に入って頭を抱えて
数時間じっとしてたんだ」

訳が分からない。
何から逃げたんだ?

「…あのさ、良く分からないんだけど
どうして逃げたの?」

次の言葉に僕は驚愕した。


「表参道も爆撃されたんだ。
五月二十四日と二十五日も。
夜中に逃げて…夜明けまでは覚えてる」

嘘だろ!?

「それ、何年のこと?」

「…一九四五年」

何?

なになになに!?

どういう事だよ!

「もしかしたらと思うけど…タイムスリップ…」

「知ってる。伯母さんが持って帰ったSFの小説に出てきた」

「……本当にこんなことがある?
どうしたらいいんだろう」

「分かんない。
僕はどうなるんだろう」

「お母さんやお父さんは?」

「人に紛れてどこに行ったか…」

「生きてるか死んでるのかも分からないんだね」

「……うん」

泣きそうな顔してこっちを見たもんだから
何とかしてあげなきゃと思ったんだ。

「なんて説明していいか分からないから
とりあえず二階の僕の部屋に行こう」

母さんや父さんに説明できないし。



「それでさ、あの家にいたのはなんで?」

ベッドに腰掛け話し掛けるけど沈んでいるよう。

「それは分からないけど…父と母はどうなったのか…」

「……調べたい?」

「この時代に生きてるとは思わないけど
どうなったのか知りたい。
おばあちゃんも……」

「例えどうなっていても?」

「知る方法があるの?」

「時代は大きく変わったんだ。
昔と違ってこういうので調べられるんだ」

彼の前にスマホとノートパソコンを出した。

「こっちがスマホでこっちがパソコン。
大抵の事はこれで調べられる」

「アメリカにはテレビって言う映像が写る
箱みたいな電機機械があるって伯母さんが。
そういうやつ?」

「テレビよりインターネットだよ。
それに今はうすーいテレビだよ。
ほら」

僕が指差した液晶テレビの前に行って
画面と裏側をペタペタ触っていた。

「戦争は終わったんですね。
戦後何年経ったの?」

「…えっと、七十三年かな」

「……僕、何歳?」

「計算すれば八十七歳」

「…すごいおじいちゃん」

「で、でも十四でここにいる訳だし
十四でいいじゃん!」

「そのパソコンとか言う機械で七十三年前のこと調べて下さい。
山手に空襲があったのか、みんなどうなったのか」


「……うん」

俄には信じられない話しだけれど
僕は彼が嘘を言ってるとは思えなかった。




続く




本日も沢山の拍手、ご訪問ありがとうございました。

事情があってこのお話しは漢数字を使ってます(^^)

Category: 水星の欠片

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