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BLの終焉

Rあり、男性同士の恋愛小説を載せております。

水星の欠片 4 

水星の欠片 4





「戦争は終わったんですね。
戦後何年経ったの?」

「…えっと、七十三年かな」

「……僕、何歳?」

「計算すれば八十七歳」

「…すごいおじいちゃん」

「で、でも十四でここにいる訳だし
十四でいいじゃん!」

「そのパソコンとか言う機械で七十三年前のこと調べて下さい。
山手に空襲があったのか、みんなどうなったのか」


「……うん」


パソコンを開くと馨が覗きこむ。

「…えっと…一九四五年…五月二十四日と二十五日山手の
空襲…ある!下町の大空襲より被害は少なかったけど
四〇〇〇人ちょっと亡くなってる。
お父さんとお母さんの名前は?」

「久世一朗と百合子…」

「行方不明者の中にはいない。
死亡者リストは……かきく…く…
……自分で確かめて」

彼が自分で確認した方がいいと思った。

黙って画面を見つめる馨。

「…現実から目を逸らすなと父から教えられたから」

昔の子って強かったんだな。

「……久世一朗と久世百合子、やっぱり亡くなったんだ。
ただ僕の名前はない。行方不明者リストにもない。
だから…ここにいるのかな。
あの日、長野から戻っていたのがいけなかったのかな」

「…長野?」

「親と一緒に長野に疎開してたんだ。
でも空爆の二日前からあの家に帰ってきて…」

泣くでもなく取り乱すでもなく冷静な横顔。
華奢だけど大人びた顔を見てた。

あっでも、ヤバい。

「風呂場の服と靴取ってくる!」

親が帰ってきたらなんて説明すればいいのか分からないからとりあえず隠さないと。


彼のものを手提げ袋に入れクローゼットに押し込んだ。


「僕、迷惑じゃないかな」

「帰るところがないんだから仕方ないよ。
僕は兄弟いないから楽しいけど馨はそれどころじゃないよね、ごめん」

「今は混乱していて…でも慣れないと」

「戦後の歴史習ったけど近代史読む?
ネットで」

「その電子機器だね、僕も覚えたい」

「うん、教えてあげるよ」

「あの…僕の親のことは気にしないで。
普通に生きていてもとっくに亡くなってる。
おばあちゃんがきっとお墓に入れてくれたと思う」

「この辺だったら青山霊園?」

「確かそうだと聞いたけど…」

「最後まで確めようか」

お墓に名前があったとしたら供養と言うか
花くらい供えられる。

「……うん。
その方がいいと思う」

「今日はもう遅いから明日行こう、
土曜だから学校午後休みだから」

「僕は本当にここにいていいの?」

「当たり前じゃん!
馨は友達だよ」

あれ…?
僕はこんなふうに言えるタイプだったっけ。

「ありがとう…た、たける」

「いや、全然。
今の社会のシステムも知らないとね」

「…そうだね」

…名前を呼んでもらって…なんか嬉しかった。




続く




本日も沢山の拍手、ご訪問ありがとうございました。
短くてすみませんm(__)m

Category: 水星の欠片

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