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BLの終焉

Rあり、男性同士の恋愛小説を載せております。

水星の欠片 8 

水星の欠片 8





「青山霊園って春になると桜が綺麗なところだよね。
馨も桜を見たことある?」

彼は表参道駅の地下の綺麗さや賑やかさに驚いて
キョロキョロしていた。

「……すごい…なんだろう…これ」

「竹下通りが目的の子は中学生や高校生だね。
表参道はわりと年齢高めの人が買い物してる。
でも地下鉄の中だけで買い物すんじゃうからね。
…行こう」

埒が明かないから馨の腕をとって
「右足から乗せて!」

「はいっ」

前もって教えといてたからエスカレーターも
戸惑ったものの何とか乗って、
ホームに降りたけどまた…
「綺麗だね、どこもかしこも!」

「分かった。
馨、電車来たから」

「ドキドキする…」

「倒れちゃだめだよ。
これからなんだから」


たまたま席が空いていたから座ったんだけどまた馨が飛び上がった。

「なになに、今度は!」

「こんなにふわふわしてるんだね!
さすが戦後七十三年」

「馨、シー」

とはいうものの注目をあびないか。

普通の年相応の恰好で
二人ともジーパンに、上は暑かったからТシャツを着ていた。
馨の腕が…白いな。

「ごめんなさい。
はしゃぐなんて不謹慎だ」

「違うよ、そうじゃなくて…目立つから馨は」

「目立つ?散髪してないからみっともない?」

「逆だよ。どこの綺麗な子なんだろうって見られちゃうかなって…」

「髪の毛…肩についても平気?」

「そのくらいが馨には似合うのかもね」

首が隠れるほどの黒髪はツヤがあってサラサラで…
そんな十四歳男子なんて見たことない。

「…ありがとう」

僕の手を握った馨。

「…ははは…全然…」

顔に血が上るのは出会って何回目かな。

「健…」

「何?」

「着いたよ、駅」

「あ…ああ!」

今度は僕が彼の手を引いて電車を降りた。
青山霊園方向の出口はエスカレーターが無くて階段。

あまり人の往来のない静かな階段を僕と馨は違う熱量で
登っていたのかな。

でも、確かに彼は生きていると彼の手の熱さから伝わってきたんだ。


乃木坂駅を出て真っすぐ行くとすぐに霊園の看板がある。
そこにマップが出ている。

迷うことなくそこに先に辿り着いた馨。
やっぱり覚えているんだろうか。

「…確かそんな歩かなかった気がする」

マップに見入る彼。

「…分かる?」

「一種ロ…東一地区…かな…こっち!」

パッとまた僕の手を握りずんずん歩いて行く。
見上げるともう花なんてない桜並木が生い茂って…濃い緑の梢の先、
青空が広がっている。

「小さな頃の記憶だろ?」

「……うん」

お墓をジロジロ見る趣味はないけど色んなお墓があるんだな。
久世家の墓か…そこに誰の名前が彫られているんだろう。

と、不意に彼が立ち止まる。

「ここの右側のお墓のお名前を見せていただきましょう。
健、見てきて」

「えっ!僕が!?」

「……僕は無理。
久世家のものかどうかだけでいいから確認してください。
お願いします」
ぺこりと頭を下げるものだから断れないよ…

……立派なお墓だった。
周りの塀は黒く固い黒曜石って言うのかな、それに
階段があった。

「分かった。
…行ってくるから」

馨の為に僕が何とかしなきゃ!



続く



本日も沢山の拍手、ご訪問ありがとうございました。

Category: 水星の欠片

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