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BLの終焉

Rあり、男性同士の恋愛小説を載せております。

水星の欠片 9 

水星の欠片 9





馨の為に僕が何とかしなきゃ!

と思っていたけど…怖かった。

馨の名前があったらどうしよう、
この馨は幽霊か幻になってしまう……

たった五段の階段を一歩一歩確かめるように登り
目の前の墓石を見上げ、その文字を見つめる。

久世…って彫ってる。

間違いなく久世さんだ。


久世一朗…百合子……

……

昭和…四十五年…?……五月二十五日…!

「…かおる……馨!」

「なに…?」

不安げな声が聞こえた。

「自分で確かめて!」

「でもっ…」

「いいから来てみて!」

「……うん」

ゆっくり上ってくると思ったら
飛ぶように来て僕の後ろに隠れた。

微かに震えてるのが分かる。

「…とにかくさ、ちょっと見て」

「……」

僕の背中から少しだけ顔を出すと
恐る恐る視線を上げた。

「…久世一朗さんと百合子さんは残念ながら
空襲で亡くなったんだね。
でも名簿には無かった」

「家の事情で死因は病死かなにかに
したんだと思う」

「…そうなのか…あ、でも馨の名前がないよ!」

「……本当だ。
でも理由が分からない」

そう言いながら墓石の前に膝をついて座った。

僕も彼の隣に座った。

なんか、変な感じだ。
彼の名前だけが無いのはどうしてだろう。

「父様、母様…馨です。
無念だったことでしょう。
ゆっくりお眠り下さい
今の僕を見守っていただければ
ありがたいことです」

「…僕は健です。
縁があって一緒にいるんですけど
心配しないで下さい!
絶対守りますからっ」

「…健…ありがとう。
付き合わせてごめんね、行こう。
父様、母様、機会がありましたらまた
参ります」

サッと立ち上がり階段を先に下りて行った。

驚くと思ったけど案外あっさりしていて
僕の方が驚いた感じだ。

急いで後を追いかけると彼は―
こっちを見て微笑んでいるように見えた。

「…かおる…?」

「どうして僕の名前が無いのか僕に起こってる現象は何なのか
どうしても知りたくなった。
と言うか知らなきゃ消えることも何処かに行くこともできないよね」

「消えないよ!
うちにいればいいんだからっ
僕も手伝うし調べまくる!」

「……うん」

白い手が僕の手を握ってきても怖くない。

幽霊でも何でもない。彼は生きてここに存在しているんだから。

「僕はなんだと思う?」

「久世馨、十四歳。
それだけじゃない?」

「僕…いつどうなるか分からないけど…色々今の世界を知りたい」

「――そうだよ!
まだ十四なんだからっ」

正確にはそうじゃないかも知れない。
それでも…馨と居たいんだ。

「まず竹下通り行こうか!」

「…竹下通り?」

「ああ、知らないんだった。
表参道上ったとこから伸びてる若い子が行く商店街だよ」

「ふーん…昔は渋谷町で大字竹下町になった辺かな。
あ、明治まで村だったんだよ渋谷は」

「え―――っ!」




続く



本日も沢山の拍手、ご訪問ありがとうございました。

Category: 水星の欠片

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