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BLの終焉

Rあり、男性同士の恋愛小説を載せております。

水星の欠片 10 

水星の欠片 10





「本当に…何もない住宅街が…どうしてこんなことに…」


原宿駅前の竹下通りの入り口で呆然とする馨。

そりゃそうだろうな、土曜日の竹下通りなんて中高生の頭しか見えない。
僕だってこんなとこ滅多に来ないよ。

地元民はひっそり暮らしてる、(観光客公害)を避けるように。


「馨、帰ろうか…」

「……こ…これも経験だから頑張るっ」

すごいやる気だけど大丈夫かな。

「馨…でも…」

「健、行こう!」

僕の手を握るのが癖になったみたいにグイグイ引っ張られ
人混みに僕らは紛れた。

ショップの前にたむろする女の子たち、クレープ屋さんの行列、
ただうろうろしてるだけの修学旅行生も多いし…とにかく夏服の群衆で
前に進むのが大変な状況だ。

「馨…大丈夫?」

「……」

汗かいてる…なんとなく冷たい汗…
必死なのかな。

「あれなに?」

「ああ、クレープ食べたくて並んでるだよ」

「クレープ…?」

「なんて説明したらいいかな…お菓子だよホットケーキ知ってる?」

「知ってる」

「あれの薄いやつに生クリームとかジャムやフルーツを
巻いてるんだ。僕は好きじゃないけど」

馨には似合うと思う…。

「まるで配給に並んでるみたいだね」

「配給?歴史で習った気がする。
あれ食べる?」

目を丸くして僕を見る彼。

「僕が!?」

好奇心が旺盛だから興味があるのか。

「待ってて、買ってくるからっ」

馨をビルの端っこで待たせ
僕が道を渡ってクレープ屋に並んだ。
何が好きか知らなかったけど甘いほうがいいかな…
と彼の方を見つつ並んでいたけど馨に話しかけるオジサンがいて、
オジサンと喋ってる馨が超気になるんだけど…今度はオバサン!?
と、思えば今度は制服のJKに囲まれてる!

気が気じゃなくて何度も振り返りながら
「生イチゴチョコクリーム一個!」
注文して馨の元に駆け戻った。

「ちょっと、何か用ですか!?
僕の友達なんだけど!」

「中学生のくせに可愛い彼女連れて生意気!」

捨てセリフ吐いて笑いながら去ってった。

「かっ…!?」

彼女って…違うわ!!

きっと馨が声変わりしてないから女の子と間違えたんだろうな。

「健、ありがとう」

「あ、ああ。食べる?」

彼に渡すと嬉しそうな顔して見つめてる。
可愛いなあ…馨に比べたらあんなJKなんてクソだ。

「…いい匂い…食べていい?」

「食べなよ!」

「…うん」

こんな甘いの食べたことあるかな…イチゴは知ってるだろうけど
生クリームは…どうかな…?

「……凄い…美味しい…」

「美味しい?
生クリーム大丈夫?」

「うん!ケーキとか時々もらってたけど
この方が美味しい!」

「良かった、並んで買った甲斐があった。
それより話しかけられてたけど…」

「芸能事務所って何?
僕はなんの芸もないから無理ですって断ったんだけど
これくれたよ」

有名な芸能事務所の名刺が何枚も…
小柄だけどパッチリ目のバサバサまつ毛じゃ声かけられるよ。

女の子より可愛いもん。

「苺が今の季節にあるの?」

「それは多分冷凍。
そういうのネットでまた勉強しよう?」

「ここに存在してる理由は多分あって…でもそんなこと考えるより
知りたいことを知るのが大事だと僕は並んでる健を見ながら思ったんだ」


でももし…もし、消えたら…馨が消えたら僕は普通に生きていけるのかな。




続く



本日も沢山の拍手、ご訪問ありがとうございました。

Category: 水星の欠片

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2018-06