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BLの終焉

Rあり、男性同士の恋愛小説を載せております。

水星の欠片 11 

水星の欠片 11






「本当に戦争に負けたんだねえ…」

キャットストリートの手前、階段に二人で座っていた。
彼は空を見上げ寂しそうな顔をした…気がして。

「負けるの分かっていて最後までやらせて
あっちこっちボロボロ。
…沖縄の地上戦は知ってた?」

「ネットで一通り調べたから…。
大本営は自国に有利な情報しか開示しなかったんだ。
だから国民は騙されて殺されて…東京裁判の記録も見た。
死刑になっても残る罪はあるよ…なんだか空しい」

「知ってる人が被害受けた?」

「…僕の両親、おばあちゃん。
父方の親族が残ってないからあの家は空き家なんだきっと」

そうだった!なに聞いてんだ自分っ

「ごめん、思い出させちゃって!」

「大丈夫。予想してた事だし
戦争で死ななくてもとうに亡くなってるよ。
それで僕は行方不明のまま。
生きてるか死んでるか分からない時代だったから…」

気丈って言うのかな…涙も見せないで上向いて…

「僕が過去から来てるとか信じられる?
あり得ないと疑わなかったの健は」

「馨は嘘をついてないよ。
そんなの見てれば分かる。
今の時代子供一人いなくなってもニュースになるし」

「…僕が知ってる日本と違う。
便利な時代になったものだね…あ、僕たちの頭の上、
人口衛星が浮いてるし色んな電波も飛んでるのか」

「昔とどっちがいい?」

「…どっち…健は今幸せ?」

「僕は楽しいよ。馨と出会って白黒の風景に色がついた感じかな」

「健が幸せなら僕はこの世界がいい。
でも…一緒にいられる?」

「うちの親鈍いから平気平気。
リビング通らなくても二階に行けるしほとんど家にいないからね」

「お父さんも?」

「今、単身赴任中」

「単身赴任…?」

「あっ本社から支社の部長になったから
あと数年は支社にいるんじゃないかな?」

「……そうか」

「夏休みに入れば母さんなんて父さんのとこに行くんだって。
岩手は涼しいらしいから」

「岩手…僕は長野に疎開してたけど涼しかったよ」

「避暑がてら遊びに行くんだよ、子供はほっといてさ。
こっちは煩く言われなくて助かるけど」

「勉強してるの?
僕にも教えてくれる?」

「馨は数学とか勉強したいの!?」

「数学も歴史も国語もしたい」

「……そうか」

ー分かった。
馨は僕より絶対勉強ができる!

「お母さんたちと進路のこととか話してた?」

「東京にいなさいって言われて…東京帝国大学に行こうかと考えてたけど。
あ…今は東京大学になったんだね」

普通に生きて普通に進学して戦後の日本を闊歩してたんだ…
留学もしたかも知れない。

「僕が馨で馨が僕だったら良かったんだ…」

思わず鼻の奥がツーンとして目が熱くなった。

馨は泣かないのに僕の方が泣いてどうするんだっ





続く




本日も沢山の拍手、ご訪問ありがとうございました。

今ハマってるBLは絵津鼓さんの
スーパーナチュラルとJOY!
最高!(^^)!


Category: 水星の欠片

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2018-06