FC2ブログ
Admin   Newentry   Upload   Allarchives

BLの終焉

Rあり、男性同士の恋愛小説を載せております。

水星の欠片 12 

水星の欠片 12




「高等部に進んだら親戚が大家の
マンションで一人暮らしだから親を気にしないで暮らせるね」

「一人暮らしか。
再来年だよね…十五歳で?
でもみんな寮に入るって言ってたから
親元を離れる年齢なのかも」

「半分無理だけど許可は貰ったんだ。
逆に仕事してても親と同居が主流じゃないかな」


僕が言うとクローゼットの前に敷いてる布団から
馨が起き上がった。

「本当に!?」

「…うん、そうだよ」

「……時代が…時代が違うんだね」


そう言いつつ馨の適応力は半端なかった。

やっぱり鈍い母は何も気づかなかった。
母がいる時は出られなかった…と言うのはつまりほとんど出れたってこと。

僕が学校行ってる時間はパソコンで自主学習で
僕がいる時は僕と一緒…いいや、勉強は抜かれてる。
英語なんて元々できたし理数系は得意だったんだ。

東大を目指すはずだ。
ネットも使いこなしたら馨に勝てる大学生とか
いないだろうな。


ただ……

不思議なことに息をして生きているのに彼の身体は成長しない。

食事もして
「カレー大好き」
なんて言ってるだけじゃなくトイレだって行くのにー

何故…とは聞けない。
彼は辛い世界から平和な時代に来たんだから
余計なことを言って傷つけたくなかった。

だけど―

「たける…背が伸びた?」

夏休みに入る直前にそう言われたんだ。

「え…いや全然…気づかなかった」

身長も体重も大して変わらない僕らだったのに…
でも馨は成長が遅いだけかも知れない。
一六二センチ、四十五キロ
僕は今…五十キロ
身長は三センチだけ伸びてた。

「毎日一緒だから分かんないって」


そのことは忘れたふりして馨との時間を楽しく過ごしたし
色んなとこにも出掛けた。
近所だけじゃなく電車で遠くにも。

そういう時は必ず馨がお弁当を作った。
「コンビニもいいけど健の健康が大事だから」
そう言い、おにぎりとネギ入り卵焼きに何故か覚えたキャベツのベーコン炒めを
ホイルに包んでメッセンジャーバッグに押し込む。

「聞きたかったんだけどキャベツが好きなんだ馨は」

「身体に良いんだってテレビで。
ネットでも見たよ」

あらら、馨はネット住民になっている……

「ネットね…ははは」

「それより健の学校はすごいね。
東大への進学率も私立では高い方で
他はほぼ十割有名私立大学。
健も東大行くの?」

「僕はバイトしてでも私立に行く。
全て親の言う通りじゃ自分である意味がないから」

「…健…ちょっと大人になった感じ」

「馨と会えたからだよ」

「ふいに現れてふいに消える個体かも知れないのに…」

エアコンの効いた涼しい部屋が凍りついて
固まったような感覚で僕は震えた。

個体?
馨は生きてるか。
実験対象にはしない!

「馨は消えたりしない!
ずっと一緒だって言ったよねっ」

綺麗なビー玉のような瞳が立ち上がった僕を見上げた。

…ああ、そう言えば…髪も伸びてない。

お寺の日本人形の髪さえ伸びるのに…。




続く



本日も沢山の拍手、ご訪問ありがとうございました。

Category: 水星の欠片

TB: 0  /  CM: 0

top △

コメント

top △

コメントの投稿
Secret

top △

トラックバック
トラックバックURL
→http://haru1924.blog.fc2.com/tb.php/4008-c5a0e053
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

top △

2018-12