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BLの終焉

Rあり、男性同士の恋愛小説を載せております。

Shangri‐La 44 

Shangri‐La 44





「…敦くんに負担はかけたくないよ、
私としては」

「…ああ、あなたのお守りで手一杯なのに
って意味ですか?」

「ひどいなあ。
違うよ、仕事もあるし…子供なんて大変だ。
きみのことだから完璧にやろうとするだろうし」

「……そんなこともありませんよ。
普通の家庭のように保育園に預けて
働きますよ」

「保育園!?
私がいるのにそれは必要ないだろう」

「あなた引退するつもりですか?
その若さで」

「…いや、そんな大した政治家じゃないし」

「あなたの自由ですが子供を理由に辞められるのは違うでしょう」

「だからそうじゃなくて…
この話しはまた今度にしよう」

「……読み聞かせ、休憩したいです。
気分が落ちる小説ですから一気には
辛いので」

母親のいない子供を持つ身で心中なんてする外道の小説を
読むのは疲れる。
しかし小説家は自己顕示欲の塊だな。
自殺者が多いのがその証拠だ。

有島にしろ太宰にしろ。
ああ、芥川龍之介、三島由紀夫と川端康成もだ。
太宰治に至っては妻を持つ身で玉川上水で入水自殺、それも心中。
クズだな本当に。

僕を置いて逝った父のことを恨んでるわけではないけど
心中は許せない。

「いいよ。
おせちでも食うか」

「…お昼寝します」

「昼寝?きみが?」

そんなに驚かなくても。

「私も付き合う!」

……でしょうね。

「ちょっとだけですからね」

「分かってる、ベッド行こう!」

僕の返事も聞かないでお姫様抱っこで
直、ベッドルーム。

「悠也さん…」

「いいから一緒に昼寝!」

ベッドの中に抱き込まれ昼寝どころじゃないよ。

「…悠也さんは昼寝の習慣はないでしょう」

「きみだってないだろう」

「今日はちょっと疲れただけです」

「あんなもの読ませたからかな…」

「いいえ、少し考えすぎたんです。
あなたのせいではありません。
続きは近いうちに…」

「分かったよ。
寝なさい」

子供をあやすように背中をポンポンと軽く叩く彼。

そんなことされなくても彼の匂いと暖かさで
眠気は自然と襲ってきた訳で。

「敦くんの子供だったら天使のようにかわいいだろうな。
でも敦くんが子供ばかりかまうとヤキモチ妬くかもな…」

子供は悠也さんで本当は沢山なんだけど。

「子供…子供って可愛いんですか……?」

「うん?」

「だって悠也さん、子供…好きでしょ」

「私が好きなのはきみだけだ」

「……また…そんなことー」

僕だって好きですよ。

最初は大嫌いだったのに人間って不思議だ。
口説かれて口説かれて…湊のことはいつの間にか
脳内から消え悠也さんにほだされた。

彫刻のような綺麗な横顔や
僕の事を好きで好きでたまらないって態度に惹かれた。

だから今の幸せがあるんだ。

「…感謝してます…」

もう死ぬほど感謝してる。
頑なだった僕の心を溶かしてくれた悠也さんと―

「感謝して……」

「なんだって?」

「あなたと僕に引き合わせた…なにか…
父…?湊?…何か分からないけど…感謝…を…」

「的場のことを言わないでくれ。
…敦くん?
どうした?」

「……ん…」

「もう寝たのか?」

そう、僕は昼寝をしたかったんだから
寝て当然だったけど…珍しく悠也さんを
置き去りにしたから悠也さんは僕の寝顔を見つめ
苦笑いするしかなかったんだ。

大事な休みを昼寝で費やすなんて
バカにも程がある。




続く



本日も沢山の拍手、ご訪問ありがとうございました。

Category: 大野敦の憂鬱 21

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2018-06