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BLの終焉

Rあり、男性同士の恋愛小説を載せております。

水星の欠片 16 

水星の欠片 16





夏休みも終る頃、部屋でLINE見ながらため息を吐く僕。

「母さん九月いっぱい岩手だって。
こっちは学校だってのにさ」

「学校お弁当ないんだよね」

「給食だよ中等部まで。
高等部から学食かお弁当買うか」

「じゃ朝ご飯と夕ご飯僕が作ってあげる」

今まで簡単なモノしか作ってない。
あとコンビニ弁当。
それでも馨は珍しがって文句を言うことはなかった。

「昔は男は台所入れなかったんじゃないの?」

「よく知ってるね。
ほとんどの家風はそうだけど
うちは父も母も考え方が自由で
料理が好きならお手伝いさんに習いなさいって。
だから味噌汁とか煮物くらい作れるよ。
クックパッドも見て勉強してる」

もう馨のネットのキャパに驚くばかりだ。

「へえ…僕なんか目玉焼きくらいしか
できないよ。それも焦げたやつ」

「料理は慣れだよ。
お母さんいないんだからとにかく作らないないと」

「ごめん」

「何故?僕は健に助けてもらったよ?」

「そうだけど…お返しなら要らない。
あの時は普通じゃないと思ったからさ」

「お返しじゃない。
健の為に作りたいんだ」

「…超嬉しいんだけど」

「僕は超楽しい」

七十三年前の子が(超)だって。



馨は本当に手際が良くて味も母親のより
美味しかった。それはもう何倍も。

これって天は二物を与えるってことかも。

頭がいい子はなんでも出来るんだ。
だったら学校も行きたいと思う筈。
……どう考えているんだろう。


その朝、彼の作ってくれた味噌汁と玉子焼きを食べながら気になってる事を聞いた。


「馨は学校に行きたいんじゃないの?」

「無理だよ。
どこの誰だか証明できないし
歳はとらないし」

「…そうだけど、勿体ないよ」

「僕はいいから。
ほら、早く出ないと遅刻!」

「ヤバい!
ご飯ありがとう!
行ってきます」

「うん、気をつけてね」

バタバタと玄関まで駈けて行って
飛び出すと二階の窓から馨が手を振っていた。

「終わったらすぐ帰るから!」

彼は頷いて笑みを浮かべていた。


……本当にこのままでいいのかな。
なんとか勉強出来る方法はー

なあんて考えていたら駅を間違えそうになった。
「…馨に叱られそう」

強くて可愛くて優しい馨。
今まで親友のいなかった僕の大事な友人……

友人…親友…でもなんか違う。

女の子を好きになったことはないけど
馨が近づくとドキドキして脈が速く打つんだ。

「これって…普通じゃない」

普通に電車の中で一人で喋ったものだから
隣に立ってたOLがちょっと離れたのが分かった。

でもさ…でも…

もしかして……もしかすると…初恋……はつこい…

初恋!?

馨は女の子じゃないのに!

でも…でも…そんなこと関係ないんじゃないかな。
好きな気持ちは変えられないんだから。


もう始業式どころじゃなかった。

浮かんでくるのは馨の顔だけで
ずっと赤面していた気がする。

始業式と学活が終わるとクラスの友人とも話さないで
慌てて下校したんだ。

好きな気持ちを伝えてもいいのかな?
引かれないかな?

それでも(いつ消えるか分からない)と
彼は言っていたじゃないか。

消えてしまうとは思わないけど
とにかく急いで帰らないと…そればかり思って―


玄関は鍵がかかっていた。

ゆっくり鍵を開けて覗いたけどリビングにいる気配は無くて、
僕は半ば滑り落ちそうになりながら階段を上がり自分の部屋に戻った。

馨はいるよね。
絶対消えたりしない!

ドアをそっと開けたけど馨は…いない。
ローテーブルを見ると嫌な予感がして置いてあったメモをパッと拾い上げた。

(たけるごめんね。なんだか消えるの分かっちゃった。
僕は消えてもまた健のとこに帰るから動揺しないで。
やけくそにならないでちゃんと勉強はすること。
それから、大好きだよ)

嘘……だろ…?

「…かおる!!」

思い切り動揺して部屋を飛び出た。

勝手に告ってずるいじゃないか!



続く




本日も沢山の拍手、ご訪問ありがとうございました。

Category: 水星の欠片

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