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BLの終焉

Rあり、男性同士の恋愛小説を載せております。

Shangri‐La 48 

Shangri‐La 48




彼は聞きたいと言うー

えっと…やっぱり包み隠さず話した方が
いいのかな。

大した記憶でも思い出でもないかも知れないけど。

「去年は苺のショートケーキ1度も
食べなかったんです。
だから食べなきゃ…そう思ってあなたに買っていただきました」

「1年に1度は食べる習慣があった?」

「…習慣と言うか…日本人はクリスチャンでもないのにクリスマスにケーキを食べますよね」

「製菓会社の罠にまんまとハマったんだ。
バレンタインもそうだけど」

「日本人は寛容なんだと父は言っていました。
神道以外の仏教もキリスト教も他国から伝わった宗教ですが特に気にもせず教会にもお寺にも
神社にも行くじゃないですか」

「寛容と言うかちょっとおバカだと思うけどね」

「そんな見方もありますが」

「…それでケーキは?」

「父と二人暮らしになって
貧しかったのでクリスマスなんて僕は最初から
口に出さなかったし望んでもいませんでした。
でもクリスマスも過ぎたある日父が小さな箱を
持って帰って僕の前に置いたんです。
…開けると…真っ赤な苺の乗っかったショートケーキがひとつだけ…」

「お父さんはなんて…?」

「クリスマスの時期は誰もが休むから忙しい。
だから今頃になったけどクリスマスケーキだよ、
小さくて悪いけどと苦笑いしてました」

「一卵性親子だな。
本当に絆が強くて羨ましいよ」

羨ましいだけですか?

「…そうですか」

悠也さんはご両親との繋がりがないから
羨ましいって感情を抱くんだろうか。

「どんなエピソードを聞いても羨ましいと思う」

「多少自分でもファザコンの要素があるのかと思いますが
父だけが守ってくれるひとだったんです」

ひとつのコクーンにたった二人でいたんだ。
それは消せない事実。

「うん、それから?」

「僕もひとりで食べるの嫌で父と半分こしたいと言うと
生クリームは苦手だからと断られました。
だけど天辺の苺だけは食べて欲しいとお願いして苺1個食べてもらいました」

「…敦くんもお父さんも優しい。
聞いてるだけで癒されるよ」

「だから悠也さん、苺……」

「お父さんが苺だけしか食わなかったんだったら
私はケーキも半分食うから」

相変わらずの負けず嫌い。

「あなたと出会う前からの習慣ですからそんなむきにならなくとも…」

「…嬉しかったんだろう…?」

「……そうですね、一緒にコタツに入って笑い合いながら
過ごす時間はあまりありませんでした。
夜勤のバイトもしてましたから」

「嬉しかったけど優しいきみはまだ後悔を抱えてる…」

「今更何を想っても過去には戻れません。
僕のはただの未練でしかない」

「きみのことは何でも分かってる。
…いいんじゃないかな、それでも」

「……なにがですか?」

「自分のことがお父さんの負担だったんじゃないか…
そう思ったまま生きていても。
でもきみがこの世にいなければ今こうしていられなかった。
敦くんを庇ってくれてありがとうございます…私だって毎日そう思ってるよ」

毎日……?

「本当に…?」

「きみのお父さんなんだ、当たり前のことじゃないか。
私もまだ未熟だからたまに妬くけどね。
お父さんじゃなくて的場に」

「湊にですか?あ…まだうちの先生に?」

「ほら、その湊って呼び捨てなとこが気になる」

「分かります。
瀧山秘書を信ちゃんとか呼んでいたら
僕も嫌ですから。
僕は人前ではちゃんと官房長官とか先生とお呼びしてます」

「二人だけの時はため口だろ?」

なんか風向きが…

「そうですが悪いことだとは思ってません。
以前も気になさってましたが職を離れれば友人ですから。
友人は友人以上でも以下でもありません。
なにかまだご意見がありますか?」

「…ははっ…いや…ない」

「それよりケーキ半分こにするんじゃないんですか?」

「そうそう、半分にしよう!」

焦った様子で言うと果物ナイフでショートケーキを半分に切った。

「苺は悠也さんの」

大きな苺をフォークで刺し目の前に差し出した。
「あーん」

「……うん」

もっと恥ずかし事するくせに顔を赤らめるなんて面白い。

「どうぞ」

ぱくっと食べるとモグモグして…紅茶と一緒に飲み込んだ。

「…美味い。
甘さと酸っぱさが絶妙で…きみみたいだな」

それは飴と鞭って意味で?

「あなたには都合に良い相手じゃないですか、
あなたはМなんだから」

「違うよ、そんな意味じゃない。
私にとっては美味しい美味しい敦くんだ。
心も身体もね」

…そういう意味じゃないですか。

「次のお願いはなんですか?
時間は有効に使わなければ」

「…なにか痺れることして欲しいな」

……これだ。

このひとらしいけどね。




続く




本日も沢山の拍手、ご訪問ありがとうございました。

Category: 大野敦の憂鬱 21

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