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BLの終焉

Rあり、男性同士の恋愛小説を載せております。

水星の欠片 19 

水星の欠片 19





飯島泉は坂本ユリカと仲が良い。

昼はいつも校舎の屋上で隣のレストランで買ってきたモノを食べてる。

坂本が俺に告る前に何度かゲラゲラ笑い合ってる
二人を見た。

二人とも見た目は可愛い系と美人系だから
誘いは引く手あまた。
坂本は以前上級生と付き合っていると
聞いたことがある。
飯島は一切噂なし。


ある日窓の開け放たれた渡り廊下から東校舎の
方を何気なく見たんだ。
そこには窓枠に両肘をついて中庭をジッと見ている飯島がいた。

何を真剣に見てるのかと思えば、
ベンチに男と座ってる坂本を見ていたんだ。

男に気があったのかな?と思ったけど
坂本の動きだけを追っていたんじゃないかな、
今思うとだけど。


飯島は坂本が…坂本が、好きなのか?
じゃ、なんで応援するような真似をするんだか。

自分には全く気持ちが分からない。


「健くん、おはよう。
今日遊びに行かない?」

また坂本か。後ろに飯島がいるし…

飯島はどう思ってるのか知りたくなった。

「…いいけど飯島も一緒じゃないと行かない」

「いずみん行くよね!?」

「……いいけど…」

笑うでもなく面倒くさがるでもなく無表情で
返事をした。

「健くんちの駅前のカラオケでいい?」

どうでもいい。
自分は俯いた飯島泉を見てた。




「ねえ!たけるくん!
健くんてばっ」

「歌もお前も煩いな、なんだよ」

「本ばっかり見てないで歌ってよ!」

「カラオケに行くと言ったけど歌うとは言ってない」

飯島は黙ってオレンジジュースを飲んでいた。

「いずみんも歌いなよ」

「…いいよ。
ユリカはみんなのアイドルなんだから
ユリカが歌えばいいの」

「そんなこと言っても…」

まんざらでもなさそうな顔してリモコンをタップしたから
自分はイヤホンを耳に押し込んだ。

二人で時々喋っていたようだけど俺は時間が過ぎるのだけを待っていた。

…飯島はやっぱり坂本が好きなんだ。
坂本に手を取られ恋ダンスとか踊らされて曇っていた顔が綻んでる感じがした。

どうするんだろう。

もし松本が誰かと付き合ったら辛くないのかな。
以前三年のヤツと付き合っていた頃はつかず離れずで
暗かったくせに。


「もういいだろ、帰る」

「ちょっと待ってよ!あたしたちも帰るし」

「これで払っといて」

ブレザーのポケットから一万円札を出して
テーブルに置いた。

「……」

ポカンとしてる二人を無視し立ち上がると
「健くんのマンションの前にファミレスあるよね、あそこでご飯しようよ!」
坂本が慌ててそう言った。

「なにが悲しくてあんたらと食わなきゃなんないの?」

「だってお金多い」
と、飯島。

「行こうよ!」

坂本…勝手に人の腕掴むな。
ムカつく。

飯島にも腕を取られて仕方なくカラオケショップからタクシーで
うちのマンション近くに連れていかれた。

これって犯罪じゃないかな。
マジ拉致られてるじゃん。

…女子は強引だから嫌なんだ。

「あたしチーズインハンバーグセット。
トイレ行くからいずみん頼んでて」

ポーチ持ってメイクでも直すのか、誰も見やしないよ。

でも飯島に聞くチャンスだ。

ボックス席の向かいに座る飯島に単刀直入に尋ねた。

「飯島さあ…坂本のこと好きだろ」

「…はあ?何言ってるのか分かんないんですけど?」

「分かるだろ?」

「だって、同性だよ?
そんなのおかしいし……」

「あのさ、友達として好きだろって聞いたんだけど?」

飯島は真っ赤になって目を逸らした。

「でも恋愛したっていいじゃん。
個人の自由だし」

「……でも」

「どうしろとは言わないけど
俺は付き合うの絶対なし!」

「…ユリカ可愛いのにどこが気に入らないの…?」

「悪いけどあんたらの数百倍頭良くて
可愛い子知ってるしその子しか頭にないから」

「好きな相手ってその子?
おんなじ高等部?」

「そんなの他人に言う義務ないから。
うんじゃ、帰る。
二人で食って帰れば?
…後悔しないように告った方がいいと思うけどね」

「待ってよ!ユリカが戻ってきてから…」

まずいことに丁度松本が戻ってきたんだ。

「どこいくの!?」

「帰るから」

「えーっ、ご飯しようよ!」

「もうついてくるな。
はっきり断ったよな?」

「あたしのどこが嫌なの?
あたしが告れば誰だって付き合ってくれるもん!」

「俺そういうやつ大嫌いなんだよね。
飯島、コレ連れて帰れよ」

ファミレスのドアを開けると雨が降っていた。

うす暗い空、雨の中見上げるとマンションの部屋が見える。
ベランダとリビングの窓と――

七階建てだけど最上階で自分の部屋しかない。

「……」

嘘だろう……?

「ねえ、傘貸してくれない?」

飯島がそう言ったけどそんな言葉なんてまともに聞けないほど動揺していた。

「…これでタクシー」

無意識にまた札を出して横断歩道も渡らずそのまま道を横切った俺。

部屋のライトが点いていた!

朝消し忘れたのかも知れない。多分そうだ。
そうだ……

そう思いつつも走り出してしまうほど待ち望んだ人がもしかしたらいるのかも―

「俺って…バカかも」

そう呟いてエレベーターに乗った。




続く




本日も沢山の拍手、ご訪問ありがとうございました。

バレンタインは嫌いです。
BLのバレンタインモノも飽きましたね。

Category: 水星の欠片

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