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BLの終焉

Rあり、男性同士の恋愛小説を載せております。

水星の欠片 20 

水星の欠片 20





エレベーターの(開)ボタンを連打して降りると
オートロックの開錠ももどかしく感じるほど焦っていた。

ドアが開くとリビングに一直線に向かった。

「かおる…?」

玄関に靴が無かった。
やっぱり勘違いなのかな。

「かおる…馨!!」

ライトは点いてる。
でもリビングには姿はない。

想像してた。
もしまた会えるとしたら馨はどうなってるだろうと。
八十過ぎのお爺さんだって馨なら分かる。
十四歳のままでも……

「違うのかな…でもいると思ったんだ。
…馨…」

力なく鞄を床に置くとベランダに張り付いて
雨空を見上げた。

そんな都合よく馨が知りもしないここに
来る訳ない。

「でも…逢いたかった」

と、次の瞬間固まった。

滑らかな素肌の感触を自分の腹部に感じたから。

細い腕が後ろから俺のことを抱き締めていた。

ひんやりしてる。
…生きてる?

けど、
幽霊でもいいから逢いたかった。

「たける…大きくなったね」

嘘…馨だ!!

振り向いてその存在を確かめもせず
あの時とまるで変わらない身体を抱き締めた。

(…健…大きくなったね)

ため息のように小さな声が身体中に響いた。

「馨……服、おんなじ…」

見覚えのあるTシャツとネイビーユーズドのジーパン。

「僕、どこにいたのか分からなくて。
ただ健の傍から消えたのは自覚したんだ。
…ごめんね」

「…どこの時空に飛ばされたのかな。
今度飛ばされる時は俺も一緒に行く!」

「気が付いたらここの廊下に座ってたんだ」

「廊下に?玄関のとこの?」

「そう。
…ここは外国で言うところのアパートメント?
ああ、マンションとか言ってたっけ」

「覚えていたんだね…馨は」

馨は生きてる。

冷たかったのは指だけで
前と同じに身体は温かかった。

寸分たがわない身長と体重だったけど。
お爺さんじゃなくて良かった……

「何年経ったのか計算できたよ。
三年でしょう?
…大きくなる筈だ。
成長期だよね確か」

その成長期に成長しないままの馨…。

「十七になった。高等部の二年」

馨が手を伸ばし俺の頬を挟んだ。

「うん。
僕の健だ。間違いない。
けど僕は身体の成長だけはしない。
……健の頬っぺ、シュッとしたね」

(僕の健だ)
なんて、馨に言われて超嬉しい。

「そうかな。
俺は変わらない馨が好きだよ」

「…また消えるのかも。
消えてる間の記憶が無いから…
でも戻って来るのは健の傍で嬉しいな」

どうしようかと思った。
自分の恋心を改めて見つめると…恥ずかしい。

馨はこう言うの、きっとピュアだろうからどう伝えればいいんだろう。

「…着替え出すね。
俺のは大きいだろうから
馨のサイズの洋服を置いてるんだ。
勿論ジーパンも」

えっと、下着も…だけど。

「本当に信じていてくれたんだね。
ありがとう」

「馨の事だけ考えて生きてきたんだ。
…良かった…また逢えて」

「ここに一人で住んでるんだ健。
僕、いいのかなお世話になって」

「当たり前だよ!
そうじゃなきゃ服も買ってないし―」

「僕の部屋もある筈ない」

ヤバい。

どうしよう、焦る。

「…部屋を見たの?」

「うん…服も寝巻きも…パジャマか、
サイズの小さいパジャマとベッドが
あったから。
勝手にうろうろして嫌だよね」

「嫌じゃない!
馨の事だけ考えて生きてきたって言ったろう?
本当だから!
馨は俺にとって特別なんだ」

「…僕もだよ。
消えそうな自分の身体を見て
今度逢えたら自分の口で言うって
決めたんだ。
…大好きだよ、健」

だ、だ、大好きってあの手紙にもあったけどどういう意味の
大好きなのかな。

「…あの、あのさ…俺も着替えて来るから
待ってて…いや、消えるの嫌だから
一緒に俺の部屋来てくれる?」

「…うん。
あ、健は自分のこと俺って言うように
なったんだ。
僕の方がおじいさんなのに変な感じ」

「馨が嫌なら馨と一緒の時は僕って言う!」

「違うよ。
成長したきみがなんだか眩しいだけ」

眩しいのは馨だよ。

綺麗な馨、
可愛い馨。

変わらずここにいるなんて信じていたけど夢みたいで……
どう表していいのか分からないくらい幸せで―
怖い。




続く



本日も沢山の拍手、ご訪問ありがとうございました。

Category: 水星の欠片

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コメント

鍵拍手コメ下さいました方へ!(^^)

拍手コメありがとうございますv-10

色々まだあって、お話し続きますので
良かったら最後までお付き合いいただければ
幸いです。

決して悪いようには致しませんi-197
バッドエンドは嫌いですから大丈夫ですe-446

ありがとうございました、これからもよろしくお願いします。e-419

ruru #Xl5e9i5Y | URL | 2018/02/17 23:33 * edit *

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