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BLの終焉

Rあり、男性同士の恋愛小説を載せております。

水星の欠片 21 

水星の欠片 21






「馨の味噌汁久しぶり!」

長ネギと豆腐の味噌汁と焼き鮭に煮物、
馨が作ってくれてそれから一度も
口にしてなかった。

「コンビニのお弁当の容器がいっぱいゴミ箱に
入ってたから自炊はしてないと思った。
料理も勉強しなきゃダメだよ」

「…バレた?」

「当たり前。
でもつい先日作ったイメージなんだけど」

「三年は長いよ。
毎日馨が帰って来るんじゃないか、
そう思いながら…でも勉強しなきゃいけない
約束だから料理なんて覚えられなかった」

「勉強して志望の大学に入れそう?」

「…馨のお陰で大丈夫そうだよ」

「勉強頑張ったんだね…。
ご両親は?」

「前の家に二人で住んでる」

「ひとりでここに住んでるのは
僕のせいかな」

「違うよ。
元々上手くいってなかったんだ。
親はまともに大学行って公務員にでもなれば
満足なんだよ」

「お役人…今は官僚って呼ぶのが普通だね。
でも大変なんじゃないかな。
狭き門の国家公務員試験受けて特殊なところで
働くんだから」

「でも俺はね、このマンションで頑張るから。
馨がもしまたいなくなっても迷わないように」

「…それは大丈夫。
今ここにこうして話してる。
ここに戻るに決まってる」

「でもずっといて欲しい」

「…何故こんな現象が起きているのか分からないけど
僕らは出逢ったんだから
必然なんだと思う」

「…そうだね。
あ、今年は梅雨が早そうだって。
早く明けたら海に行こうね。
また」

「江ノ島?
…海もいいけど僕はここにいたい。
アレなんだっけ、ベランダ!
ベランダに野鳥がくるし空が近くて
好きなんだ」

馨の言葉が刺さる。

…好きって…場所だけ?
大好きだって手紙…本当の気持ちを聞きたいんだ。

「馨、お風呂入った?
話したい事があるんだけど」

「じゃ…あの部屋のパジャマとか
使わせてもらうね」


「…うん」

大丈夫かな、俺…告白できるかな。
今伝えないといつ消えてまた帰って来るか
分からないから。

でも馨は恋とか知っているんだろうか。

十四で出逢ってあっちは戦時中。
そんな相手いる筈ない。

バスルームの前を行ったり来たり
落ち着かない。
お湯の音がしている間は大丈夫と言い聞かせても
動悸が…。

音が止んでパタパタと足音が響く。
身体を拭いてパジャマに着替えー


「…健?平気?」

バスルームの向かいでしゃがみこんでいた耳元に
馨の声が!
「わ!ビックリした!」

「健もお風呂入るの?」

「うん、入る入る!」

あわててバスルームに駆け込んだけど
…あ、馨!

「いなくならないよね?」

「消えそうな時は予感がするから。
…今は大丈夫」

「頼むからリビングで動かないで」

「分かった。
ゆっくり入って来てね」

「…うん」

そうか、そんな感じあったな。
だから前もって手紙を書いたんだ。

このままずっと一緒にいられたら
他に何も誰もいらないのに。



馨はデスクからノートパソコンを持ってきて
リビングで見ていた。

「…地図?」

「あ、お風呂出たんだ。
うん…ここの住所を調べてた」

「駅は外苑前で前とあまり離れてないんだ。
秋になると銀杏並木がすごく綺麗だよ」

「住所だと南青山?」

「そう。
まあ歩いても実家には行けるけど」

隣に座ると
「…実家、行かないんだね」
パソコンを見ながら呟いた。

思わず見とれてしまう綺麗な横顔が
本当に懐かしいし…触りたいな…

「ここでずっと僕と会話してたんだ、健は」

「ごめん。
嫌だった?」

「……僕、伯母さんの持って帰った雑誌を
散々見せられたんだけど、アメリカの女優や
俳優が載っていて自分は誰が好きだとか
恋するほど焦がれてるとか馨は恋はしてないのか
なんて聞かれて辟易したのを思い出したよ」

辟易?
へきえき…って、良い言葉じゃないな。
飽々してたって事だ。

恋愛には興味ないのかも。

時代も時代だし。

「…恋愛とか興味ない?」

「恋愛?健はもう十七だよね。
好きな人とかいてもおかしくない時代だから
付き合っている女性…いないの?」

「そんなの…そんなのいる訳ない!
だって俺は待ってたんだから、馨を!」

…しまった…と思っても遅い。
馨が俺の顔を覗き込む。

ふられるかな。
それとも…気づかないか。

「…僕は好きとか恋とかまるで知らないけど
……健の傍にいるとときめくんだ。
これって…なに?
これが恋なら僕は健に恋してる。
同性で気持ち悪いよね、ごめん」

「……ち…」

違う!

「ち…?」

いや違わない!

「あああの…同じだって気づかない?
どうして馨のことしか考えられなくて
ただただ待っていたのはー」

「……うーん…勘違いじゃなければ…
両思い?
片恋じゃなく?」

「……」

情けないけど言葉にならず
ブンブンと大きく頷いた。

「良かった。
今だから言うけど最初からドキドキしてた」

「……多分、自分も…」

どうしよう、どうしよう、どうしよう!
先を越されたっ

それにー
馨の視線から逃げられないんだけど
これって…恋のせい?

…すごいな、
初恋の破壊力って半端ない!




続く




本日も沢山の拍手、ご訪問ありがとうございました。

Category: 水星の欠片

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