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BLの終焉

Rあり、男性同士の恋愛小説を載せております。

Shangri‐La 54 

Shangri‐La 54





「悠也さん、青空が眩しいですね」

寝室からのぞめる庭は庭師さんのお陰で
冬でも青々しい。

そのうち梅も咲きはじめる。

「…そうだね」

読んでいた雑誌から目を上げて彼も
庭を見た。

「今日は暖かいらしい」

「…ラジオ体操とかしたい気分です」

「ラジオ体操?
やったことあるの敦くん」

「あると思いますけど小学生の頃…
多分夏休みに。
はっきり覚えてませんけど
音楽がかかると自然に身体が動きます」

「面白いね、身体が覚えてるなんて。
私は子供の頃の思い出なんてちっとも
浮かんでこない」

「楽しかった事とか思い出せばいいんですけど
おぼろげですね」

「楽しいばかりじゃなかったんだろう」

「…そう言うことです」

「今、楽しいだろう?」

「はあ、まあ…楽しいと言うか
幸せですよあなたのお陰で」

「…私もだ。
生まれて何十年も絡みもしなかった糸が
触れあってしっかり結ばれてる。
そんな奇跡ってないよね」

「奇跡じゃなく必然じゃなかったんですか?」

「そう、そう必然。
こうしてベッドで過ごすのも
幸せだ」

「…幸せですけどー」

「なに?ですけど…?」

「これからも幸せは続くんですか?」

「きみと私は一緒だよ。
幸せに決まってる」

今、温めてる法案が国会で通らなければ
どうなるだろう。

悠也さんの立場は…?

「敦くん、今日は色々考えないで
のんびりしよう」

そうは言ってもね。

「じゃ…せめて散歩に…ダメですか?」

彼の手を取って唇を押し当てながら
上目遣いで見つめた。

「……うーん…コンビニでアイス買うくらいなら…」

たまには甘えてお願いしても
バチは当たらないだろう。

ダウン着てニット帽にマスクで
ワンペアの出来上がり。
僕のニット帽はオレンジだけど
彼のは黒。
頭から爪先まで黒づくめでいかにも怪しい。

「白のカシミヤが似合うね」

「あなたが選んで下さったセーターですから」

彼が選べばまず間違いない。
洋服のセンスがいいのは悠也さんや鈴木さん。
僕は同じものばかり選んでしまって
ダメ出しされるんだ。

「きみは何を着ても似合う」

手をダウンのポケットの中で握り合って
空気の珍しく澄んだ都心の路地を歩く僕ら。

人影なんてない。

「…ほら、良い空気。
家に籠るのも好きだけど散歩も好きです。
この辺りはジロジロ見てくるひともいませんから」

「ご近所さんたちだからね」

そう、僕たちを見ても声をかけず
そっとしといてくれる上品な方々ばかりだ。

マスコミも今は宮崎議員の事で嗅ぎ回っているからここには来ないだろう。

「僕は散歩が好きなんです」

「…そうだね」

「悠也さんは僕に合わせて下さってる」

「それだけじゃないけど」

「どちらかと言うと秘密主義で
ひっそり籠るのが好きなくせに」

「ははっ
青い空の下でする話しじゃないが
まあそうだね。
ベッドで絡み合ったままで良いよ。
1日中絡み合って繋がったまま」

確かに青空には似合わない話し。

「セックス依存症でもないのに」

「きみがそんな気分になるフェロモンを
放っているんだよ」

「そんなつもりはありませんけど
もしそうでも、あなたと居るときだけでしょう?」

「たまに嗅ぎつける輩がいるから
心配なんだ」

「でも長野先生と話せと仰る」

「長野は大丈夫だって。
律くんがいれば大丈夫だと言ったろう?
見たんだよ自由党のビルまで迎えにきた
律くんを。
あの長野が嬉しそうに笑ってたんだ。
それで裏切るほどクズじゃないと思いたい」

「……そうですね」

僕は疑っていたんじゃない、と言うつもりで
悠也さんの腕を抱き、胸にすり寄った。

「…愛してるよ」

「悠也さんへの僕の愛はすごく量が多い」

「それは―
…超嬉しいな」

「キスします?
でもおでこですからね」

「分かった」
乱暴に抱き寄せられ

フッと笑って優しく…
この上なく優しく額に落とされたキスの方が…
超超嬉しい。




続く



本日も沢山の拍手、ご訪問ありがとうございました。
まだまだしつこく続きます(;・∀・)

Category: 大野敦の憂鬱 21

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2018-06