Admin   Newentry   Upload   Allarchives

BLの終焉

Rあり、男性同士の恋愛小説を載せております。

Shangri‐La 55 

Shangri‐La 55




「敦くん、まったりしたいんだけど…いいかな」

買い物から戻ってきて着替えると
悠也さんがそう言った。

彼はリビングの床、絨毯の上に
寝転がっている。

「…構いませんけど…お行儀が悪い」

「床暖が暖かくて気持ち良いんだ。
きみも寝てごらん」

「じゃ…ちょっとだけ」

彼の隣に横になって窓際までゴロゴロと
転がってみた。

「私もやろう」
悠也さんも真似して転がって僕にピッタリ密着した。

「…もう何回年を越えたっけ」

「そんなこと考えちゃダメです」

「なんで…?」

「年数じゃなく深さです。
長く付き合ってきた人間はいくらもいますが
深く…は、あなただけです」

「そうか…そういうものか」

「そういうものです」

「はははっ
敦くんに断言されちゃそう思うしかない」

「…それとも悠也さんは僕以外に深くお付き合い
した方がおられたんですか?」

そんなの聞いたことないけど。

「ある訳ないだろ!
敦くんしかいない、敦くんだけだ」

「……でしょうね」

「えっ…わざとからかったね!」

背中を向ける僕を後ろから捕まえ
抱きしめる彼。

「…ずっと幸せでいられるね、
一緒だと」

一緒にいられればね。
弱い僕は直ぐに不安になる。

今日も逢えない、明日も帰れない。
そんな時間を過ごすといつか悲しみも苦しみも
感じなくなる。
父を待つ日々とは違うけれど重ねてしまうんだ。


「…敦くん…お父さんのこと考えてた?」

「……いいえ」

「嘘だな。
でも嘘つく理由も知ってるからいいんだ」

随分物分かりのいい―

「悠也さん、僕を甘やかせたらダメですよ。
それを良いことに我儘放題になりますから」

「敦くんは少し我儘で丁度いい。
言いたいことも言わないで拗らせるから」

拗らせる…?
そんな子供ですかね。

「それは申し訳ありません」

「怒ってるんじゃない。
…ちょっと我儘なきみに萌えるから
大歓迎だ」

「何を言っているんですか。
僕が本気で我儘言ったらこの家…潰れちゃう」

「あははは!
いいよ、家なんて無くても一緒なら
どこででも生きて行ける」

それじゃ本当に重なってしまう。
昔の境遇と…。

「僕は嫌です。
何があってもこの家から離れません!」

「私だって思い入れが半端ないから
手放す気はない。
ただ、きみの替えはいない。
この家と比べるのもおかしいけどもね」

そんな価値がありますか?
あなたの秘書にはならない、昔恋してた人間の
秘書を辞めない…そんな僕に価値があるだろうか。

胸を張って彼の伴侶だと隣に立っている価値が―


「敦くん…ちょっと顔…じゃなくて身体貸して」


…なんか急に…これだもんな。

僕が真面目に考えてる時に。

「身体だけ貸すのはお断りします」

「…ごめん。心と身体を貸してくれ」

とっくに差し上げたんですけども…

「それは何のお誘いですか?」

「…あ…いや…その…」

焦れったい!

「ベッドのお誘いなら喜んでっ」

僕が先にパッと立ち上がってリビングを出たものだから
慌てて悠也さんが追ってきた。

ベッドルーム手前で抱きしめられ
深い、深いくちづけを受け止めた。

……

僕だけじゃない、不安なのは。
僕より不安な彼を慰められるのは僕だけだから。


休日の終わりに悠也さんの心は乱れ
独占欲は山のように積もりー

…長い夜を予感した。




続く




本日も沢山の拍手、ご訪問ありがとうございました。

Category: 大野敦の憂鬱 21

TB: 0  /  CM: 0

top △

コメント

top △

コメントの投稿
Secret

top △

トラックバック
トラックバックURL
→http://haru1924.blog.fc2.com/tb.php/4034-8c730937
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

top △

2018-06