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BLの終焉

Rあり、男性同士の恋愛小説を載せております。

Shangri‐La 60 

Shangri‐La 60





「何!?
政治の話し?」

「律はベッドルームに行きなさい」
長野先生が言うが…
「僕は口外しないからいいじゃん。
研究室ばかりで久し振りの休みなんだから
面白い話し聞きたいのっ」
と、意に介さない。

確かに部外者に聞かれちゃまずいが
…可愛らしい。
もう20代後半だと思うけど
雪村選挙事務所の前で初めて見掛けた頃と
全く印象が変わらない。

10代の少年のようだ。

「…ごめんね、律くん。
10分だけ時間もらえるかな」

「話しが終わったら遊んでくれる?
それならいいけど」

……遊ぶ…?
何して遊ぶんだろう。
まあ、いいか。

「分かりました。
喜んでお付き合いします」

「やった。あ…大野さんてさ、どことなく尋に似てるよね。
だから亮ちゃんがちょっかい出してたんだ。
…じゃ、あっちでゲームしてるから」

「違う、律が似てるんだよ」

「だから僕はパーマかけて染めてるんじゃん
後でね大野さん」

「……」

律くんを見送って長野さんを見ると
頭を振っていた。

「…すみません。
大野さんとのこと全部知ってるんです。
怒り狂ってたんですけどもう過去だから水に流すと。
そう言いつつも時々ああして口に出す。
なので気にしないで下さい」

「私は気にしてはいません。
長野さんの元に良い子が来てくれて
嬉しいです」

「過去のこととは言えその節は
すみませんでした」

「ですから忘れました」

彼がひとに、人間になる為の過程で必要な出来事だと思えば
どうと言うこともない。


「…座りませんか。
紅茶用意してくれたんです、律が」

昔長野さんが煎れてくれた紅茶には
眠剤が入ってた。
彼がまだ律くんと再会する前だ。

湊の事務所や的場の実家に出入りしていた時と同じ暗い目をしてたっけ。


「そうですか。それでは失礼します」

彼の向かいのソファーに腰かけると
アールグレイの香りがした。

「アールグレイ…律くんが好きなんですか?」

「大野さんが紅茶派だと教えたら
勝手に注文したんですよ」

「…やっぱり可愛い。
長野さんが敵わないの分かります」

「ははっ
そうなんですよ。
悪意がない子だから何も言えなくて…」

「ともあれお幸せそうでなによりです」

「…どうも。
ああ、今日は幹事長のお使いですか」

「お察しの通り先日のことです」

「党派を越えて手を結びたいんですね?」

「長野さんは自由党の幹事長ですから」

「懐柔したいと?」

こんな話しになると切れ者の彼は
ズバズバ言ってくる。

「北原の考えている勉強会にとりあえず
出ていただけますか?」

「ハッキリとした内容を聞きたいんです。
大野さんなら知ってるでしょう」

「大まかな事なら。
詳しいことは勉強会でお話しするかと」

「…そうですか。
大野さんの知ってる範囲で教えて下さい」

「……独立監査と言うか、内閣管理局のような
ものを作りたいのではないでしょうか」

「党派関係なく法に触れる議員を炙り出したいんですね?」

「…そう言うことでしょう」

「近頃目立ちますからね。
宮崎議員は裏帳簿で離党したけど
結局議員辞職に追い込まれる。
でも彼の例なんて氷山の一角だ。
国民の税金で私腹を肥やしてる議員は
うじゃうじゃいる」

「与党も野党も関係なくそんな方は
おられますから」

「だから自分にも…ですね」

「その通りです。
長野先生が加わって下されば助かります。
いいえ、お願いします」

悠也さんの秘書にはなれない、
だけど少しでも手助けをしたい。
心にあるのはそれだけだ。

「大野さんの頼みを断れる訳ない。
最初は秘密裏で…でしょう?」

「そう思います」

「この間もこれから立ち上げる勉強会に
参加できるかと聞かれたんだけど
それぞれ持ち帰って…ってなったんで
もう一度お聞きしようと思っていたところでした」

「いいんですか?
身内から反発を受けませんか」

「自分は北原先生に東京湾に沈められるとこまで行ったんだから
怖いものはないですね」

「ホテルでの騒ぎで…でしょう?
ですから過去の話しです。
北原があなたを信用してるからこそ
私がここにいるんです」

「お墨付きいただき光栄だな。
とにかく政治家として尊敬していますから
ついていきますよ」

きっとそう言ってくれると思っていた。

「…ありがとうございます」

「亮ちゃん?
もう終わった…?」

と、律さんがリビングを覗いた。

「…終わりましたよ」

「ほんと?じゃあ何して遊ぼうかな」

「律、大概にしなさい」

「亮ちゃんは関係ないの!
僕は大野さんと遊ぶんだから」

「何して遊びますか?」

「…カラオケ行きたい!
いいよね亮ちゃん」

カラオケ……苦手分野だ。

「大野さんは迷惑だろう。
大野さんとはかけ離れたところだし…」

「私は構いません。
たまにはそんなところに行くのも勉強です。
お若い議員の方々もおられますし」

「わーい!3人でカラオケ楽しそうっ」


後々それが問題になるなど思いもしなかった。



続く



本日も沢山の拍手、ご訪問ありがとうございました。

またひと山ありそうです。
長々と大変恐縮です。長野さんや律と尋を知らない方は
良かったらノスタルジア (53)で。

Category: 大野敦の憂鬱 21

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