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BLの終焉

Rあり、男性同士の恋愛小説を載せております。

水星の欠片 31 

水星の欠片 31





「馨、ただいま」

「お帰りなさい」

馨はいた。

いたと言うのは変だけどもしかしたら…
そう思って覚悟みたいな、
心の準備をしていた気がする。

「…良かった」

ドアを閉めて玄関で靴も脱がず
馨に抱きついていた。

「僕がいないと思ってた?」

「…少し」

「まだ大丈夫みたい。
そんな気配感じないから」

「…うん」

「勉強はあるの?
お腹は空かない?」

「なんかさ、馨の顔ばかり浮かんで
早く帰りたかった」

「それはそれ、これはこれだよ。
学校に行ってるときは勉学に励まないと」

「分かってるけど幸せ過ぎてさ…」

「早くお風呂入って着替えたら?」

「うん。鞄片付けてくる」



「健はどういう子供だったの?小さい頃。
一人で住んでるくらいだから独立独歩だったのかな」

ダイニングテーブルで馨が聞く。

「普通だったと思うけど。
あ…今より社交的だった気がする」

「これから大学に行って社会に出るんだから
社交的でいた方がいいんじゃないかな」

「親友で兄弟で恋人の馨がいるから誰もいらない」

「社会と関わらず生きていくことなんて出来ないから。
僕はこんなだけど健は成長するし誰かの力が必要だよ」

「まあ…上手くやっていこうとは思うけど」

「頑固だからなあ、健は」

「それは昔からだったかな」

「僕もね強情だと言われたことがあるよ」

「馨が?
馨はいつでも優しいのに」

「良い子でいようとしてたんだ。
養子だったのを知ってから捨てられないように
大人しい良い子を演じてた」

「…そうだったんだ。
あ、ハンバーグなんてよく作れたね」

夕飯はハンバーグプレート。
ハンバーグとサラダ、チキンライスが
テーブルを彩っていた。

「クックパッド。
今の時代は便利でいいね。
チキンライスなんて銀座のレストランでしか
見たことなかった」

「便利さの代わりに魂捨ててきたんじゃないかな
今の人間は」

「健は違う。
こんな僕を受け入れて愛してくれた。
すごく感謝してるんだから」

「感謝なんて要らない。
欲しいのは馨の愛情だけだよ」

「…カッコつけちゃって」

「やっぱり?」

二人で笑い合う夜が貴重で…愛おしい時間だった。

馨は毎日一緒のベッドで寝て、
二人のバイオリズムが合えばセックスに及び
俺はいつもこれが最後じゃないかと馨の身体を貪った。

馨から求めてくることもあったけど
欲しがってたのは…ほぼ自分。

馨の狭くてまとわりつく内壁が収縮すると
突き上げないといられなくて。

でも馨の身体は成長することなく
自分だけ馨を置いていくように背が伸びた。

丁度胸の中にすっぽり収まって
可愛かった。

馨は消えなかった。

次の春も
卒入学の春も。

もう永遠に消えない存在だと
錯覚していたんだ。

大学に入学し五月のある日彼は
キャンパスにやってきて、案内すると
嬉しそうだった。

「少しでも健の大学生活が見れて良かった」

マンションに戻ってもそう言って
楽しげに学食が美味しかったとか
芝生が緑だったと興奮した様子で
喋っていたんだ。


その五月の雨降る夕刻、
彼の姿がマンションから消えた。

またメモに走り書き。
(心配しないで。帰ってくるから)
と。



続く




ご訪問ありがとうございましたm(__)m
いつもお粗末様でスミマセン(-ω-;)

Category: 水星の欠片

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